2020/12/30
技術用語解説6『2018年改正食品衛生法(抜粋)』
2018 Revised Food Sanitation Law (excerpt)
1. 主な改正内容(抜粋)の概要
(1)営業施設の衛生的な管理その他公衆衛生上の必要な措置については都道府県等が条例で定めているが、改正法では厚生労働省令で一般衛生管理に関わること、食品衛生上の危害発生を防止するため、特に重要な工程管理をするための取り組みに関する基準を定めている。
(2)国際標準の衛生管理を導入することから、コーデックスHACCPの7原則を要件とする基準(HACCPに沿った衛生管理)を原則とする。また、コーデックスHACCPをそのまま実施することが困難な小規模食品事業者に対しては、コーデックスHACCPの7原則の弾力的な運用を可能とする「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理基準」とするなど、取り扱う食品の特性と事業者の規模を加味した衛生管理を可能とするものとなっている。
(3)と蓄法、食鳥検査法においても同様の規定を設けている。
2. 対象となる事業者(食品事業者)
(1)食品事業者とは、生鮮食品の生産者(農家、漁業者等)を除いた、食品に関係するフードチェーン全般に関わる業種となる。
(2)具体的には、と蓄場、食鳥処理から食品製造業、食品加工業、調理加工、販売業、飲食店、食品運送・保管業などが該当する。
3. HACCPに基づいた衛生管理
(1)対象
コーデックスHACCPの7原則を要件とするものが対象となる。
(2)基本的な考え方
「HACCPに基づいた衛生管理」については、食品等事業者自らが、個々の製品の特性(原材料、製造方法等)や施設の状況(施設設備、機械器具等)に応じた危害要因分析や管理措置の決定、CCPの特定、CLの設定等のコーデックスHACCPの7原則(12手順)を実践し、その内容を踏まえた上で、衛生管理計画を作成し、衛生管理計画に沿って実施した内容を記録しなければならない。
4. HACCPの考え方に基づいた衛生管理
(1)対象
上述した「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理基準」は一般衛生管理を基本として、事業者の実情を踏まえた手引書等を参考に必要に応じて重要管理点(CCP)を設けて管理するなど、弾力的な取り扱いを可能とするものである。小規模事業者や一定の業種等が対象となる。
次の4つが、一定の業種等に該当する。
① 小規模な製造・加工業者
② 施設に併設された店舗での小売り販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者として、菓子の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売、豆腐の製造販売等
③ 提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種として、飲食店、給食施設、惣菜の製造、お弁当の製造等
④ 一般衛生管理の対応で管理が可能な業種として包装食品の販売、食品の保管、食品の運搬等
小規模事業者およびその他の政令で定める事業者については、取り扱う食品の特性等に応じた取り組み(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)として、各業界団体が作成する手引書を参考に簡略化されたアプローチによる衛生管理を行うことが可能である。
(2)基本的な考え方
「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象となる食品等事業者においては、食品等事業者団体が作成する手引書も参考にしながら、一般衛生管理を基本とし、必要に応じてCCPを設けて、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行うことになる。
以上