2021/09/13
技術用語解説26『食品製造プロセス単位操作
(Food manufacturing process unit operation)』
食品製造プロセスにおける単位操作は、食品工学では単位操作(unit operation)と呼ばれる。一般的な単位操作を表1に示す。食品製造プロセスは、熱的操作、機械的操作、拡散的操作および反応操作に分類される。食品製造プロセスの設計にはどのような単位操作を選択して組み合わせるかが重要な課題となる。
食品製造に関連する設計領域としては、食品工学の他には食品加工学ならびに食品製造学などがある。これらの分野においては、個々の食品ごとに製造方法が詳細に解説されている。表⒈においては、個々の食品ごとに横軸方向の記述がそれに相当する。表⒈に示すマトリックスは製造プロセスに必要な操作を理解するにはとても有効である。
代表的な食品製造プロセスを理解する早道として個々の単位操作を理解することが重要である。
表⒈食品製造プロセス単位操作一覧表
それでは、単位操作はどのようにしてその適用対象である個々の食品を認識するか、そのインターフェースの役割を担うパラメータが物性である。密度や比熱、熱伝導度などの情報が必要になる。単位操作を必要とする機械装置システムとなる食品製造プロセスは実際の食品を取り扱うことが主目的である。そのために個々の食品の特性を十分に考慮する必要があり、個々の単位操作の目的を明確にして、そこにおける操作条件を決定しなければならない。
例えば加熱の目的が調理であれば、個々の食品の特性に合わせて加熱温度、加熱時間を調節する。また、目的が殺菌であれば、対象微生物の耐熱特性に対応し、且つ、対象食品の品質への影響を最小限にするような加熱操作条件を決定する必要がある。
このようにして、食品の特性に配慮した単位操作の条件を決定し、その上で、例えば食品製造の場合、最終製品としての食品に必要な特性を最大化し、あるいは廃棄物処理においては環境への負荷を最小化するようなプロセスシステムの設計をすることが食品工学の目的である。
以上
【参考文献】
1. 日本食品工学会編「食品製造に役に立つ食品工学事典」恒星社厚生閣