2019/12/24
会場:東京ビッグサイト晴海・西・南ホール、主催:日本ロボット工業会、日刊工業新聞社
開催期間:12月18日~21日の4日間
「国際ロボット展」は2年に1度開催される世界最大級のロボット見本市である。
規模は過去最大となり637社・団体が出展し、過去最大規模である。今回の展示会テーマは「ロボットがつなぐ人にやさしい社会」である。産業用ロボットメーカーによる最新ロボットの大規模な展示をはじめ、国内外からIoT、AI、関連技術などロボットに関わる製品や技術が展示紹介されていた。
視察目的:
主に三品産業向け自動化・省力化生産ラインへの導入提案に有益な新製品の情報収集と業界動向把握、現場での利用に配慮した新技術があるか視察。
全般的な展示内容:
今回会場が3か所使用され「産業用ロボットゾーン」と「サービスロボットゾーン」に分かれての展示となっていた。
「産業用ロボットゾーン」は、主にロボット生産システム、要素技術・関連機器、ロボットシステムインテグレータ、ロボットシミュレーション・ビジョンシステムが出展されていた。
「サービスロボットゾーン」では、介護・福祉・医療をはじめ、農林水産、食品、インフラ・災害対応・建設、生活や人材育成・教育の現場で利用されるサービスロボットとその要素技術・関連機器が出展されていた。
各ゾーンで見られた“キーテーマ”は次の4つであった。
1.力覚センサ+ロボットで高度な精密作業
これまで産業用ロボットは自動車や電子機器業界におる溶接や塗装、組み立て、マテハンなどの分野で3K作業の自動化・省力化、生産性を求められる主に単調な作業をロボットが担ってきていた。それが近年になって技術進歩によりロボットでも人手に頼っていた作業や人に手に負えないような高度な作業が可能となってきていると感じる。
特に力の大きさと向きを検知して繊細な作業を可能にする「力覚センサ」を使ったアプリケーションは、今最も注目すべき技術となっている。
ロボットメーカー各社ブースにおいても力覚センサを使った高度な作業に対応した新技術展開を図っている。
2.重量可搬など協働ロボットの進化
人手不足が深刻となってきている業界では人手の担い手として非常に関心が高く人協働ロボットへの注目度合い関心度が高い。前回は80W規制が緩和され協働ロボットの元年とも言えたが、今回はロボットメーカーだけでなくロボットハンドやセンサ、ビジョンなど周辺機器メーカーやシステムインテグレータなどで各種のアプリケーションが展示されていた。
協働ロボットが主戦場としていた軽量物の取り扱いとは別に今回は重量物可搬へ活用領域が広がってきたことが注目される。
3.モバイルロボット+アームロボット
工程間を移動する運搬が変わりつつある。人の脚+腕の代替技術として注目されるのが自動搬送ロボット(モバイルロボット)+多関節アームロボットを組み合わせた自動化システムである。
工程間のワーク搬送を自動搬送ロボットが担い、アームロボットと統合制御した自動化といった工程間ラインを自動搬送ロボット+アームロボットが一体となった自律型の搬送ロボットがつなぐ展示デモが数多く見られるようになった。工程間の接続を搬送ロボットが担い生産の連続性を高めたシステムが注目される。
4.ハンドやビジョンなどロボット周辺機器の充実
ロボットの眼となる画像処理技術、ロボット関節を制御するエンコーダ技術の応用として各種駆動用アクチュエータも見られた。さらにロボットハンドについても参入メーカーが増えロボットシステムを構成し、作業性、安全性を高める周辺機器にも注目される。
注目したメーカー:
三品産業に利用可能な新技術、新製品と自動化ライン組込み技術など各メーカーブースで注目した技術をまとめる。
1.三菱電機株式会社 https://www.mitsubishielectric.co.jp/
三菱電機ブースで注目した技術は作業工程の一員として利用可能な協働ロボットでAI技術を利用して不定形な食材を認識する先進技術として紹介されていた。
お弁当惣菜で扱う不定形食材(ワーク)をAI技術とビジョンセンサを利用してバラ積みされた食材(ワーク)を瞬時に認識してピッキングするものであった。
お弁当惣菜を容器に盛り付ける製造ラインへの投入を想定しての技術でピッキングに特化した展示となっていた。製造ラインへの組み込み試験を始めているようであるが周辺技術との融合とライン構築に課題が多くあるようであった。
展示ブース中央部では、人とロボットが協働して作業を行うスマート工場のデモンストレーションが披露されていた。
このスマート工場デモは、MELFA ASSISTAのミニチュア模型の生産ラインを模しており、構成部品のピッキングから、キッティング、接着剤塗布、組立、ねじ締め、レーザーマーキング、検査、梱包、出荷までの工程を網羅していた。MELFA ASSISTAは、ピッキング、組立、ねじ締め、レーザーマーキングなどの工程に用いられている。
例えば、組立やねじ締めでは、小さな部品の取り出しなどの繊細な作業は人が行い、MELFA ASSISTAがそれを受け取って取り付けるというような内容の作業を行っていた。
キッティングと接着剤塗布については、短いタクトタイムを実現するために協働ロボットよりも動作速度が速い産業用ロボット「MELFA FRシリーズ」を用いている。ただし、生産ラインとして人と協働することに変わりはないため、Realtime Roboticsの3次元空間認識技術を用いて、周辺に人や障害物を検知した場合には衝突しないように減速したり避けたりする制御が組み込まれている。また、検査については従来の産業用ロボットの運用と同様に仕切りを用意して生産性を最大限に発揮できるようにしている。ピッキングと出荷は、AGV(自動搬送機)に搭載されたロボットが工程を担う。ピッキングはMELFA ASSISTAとトヨタL&F製のAGV、出荷はMELFA FRシリーズと田辺工業のAGVを組み合わせていた。
2.株式会社安川電機 https://www.yaskawa.co.jp/
安川電機ブースで注目した食品工場向けロボット。人協働ロボットの新たなラインアップとして、食品製造ラインへの導入が可能なMOTOMAN-HC10DTF (可搬質量10kg、最大リーチ1200mm) の提示がされていた。特長として従来のロボットは外観に塗装が施されているが、食品工場では塗装の剥離による異物混入といった問題点が指摘されている。
そのため外観を覆うカバーを装着するような対策がされるが、安川電機では外観をステンレスに特殊メッキを施し、保護構造規格IP67相当として水洗いや耐薬品にも対応。「食の安全」に対する関心が高まる中、食品製造ラインへの人協働ロボットの導入実現を狙っている。さらには、食品分野にとどまらず、薬品・化粧品の搬送など、様々な工程における多様化ニーズをターゲットにしていた。
もう一つ大きな注目を集めていたのが、新型の協働ロボットとデジタルツイン技術である。協働ロボットはこの数年のトレンドであったが、新型機を投入する企業が目立っている。デジタルツインはコンピューターの仮想空間上に現場環境を再現し、高度なシミュレーションなどを可能にする技術で、一部の大手メーカーが取り組み始めている。
バーチャル環境でロボットシステムが自律的に動作を計画して実際の空間で実行する。その動きをデータとして収集して分析し、再計画に役立てる。「データドリブンによる自律分散型のモノづくり」と同社は表現していた。画像(下記右側)の通り、実際の動きと仮想空間上の動きが一致する実演が紹介されていた。
無人搬送車(AGV)に載せた協働ロボットや、防じん・防滴仕様の可搬質量20kgの協働ロボット「MOTOMAN(モートマン)-HC20DT」が現実空間での作業を担った実演展示もしていた。
3.ユニバーサルロボット https://www.universal-robots.com/ja/
デンマークのUniversal Robots(ユニバーサルロボット、以下UR)は、16kg可搬の新製品「UR16e」を使った段ボール箱の積み下ろしなどを展示していた。
「これまでは機能を説明するための展示をしていたが、実際の導入現場に近いシステムを展示し生産性を高める狙いがある。
アプリケーション提案を行う上で土台となるのが、関連製品やツールをURの協働ロボットと組み合わせてプラグ&プレイで使用できるプログラム「Universal Robot +(以下、UR+)」である。
「UR+」はユニバーサルロボットのロボットアームの仕様やインタフェースをオープンにし、それらに準拠するエンドエフェクター(ハンド)やカメラ、センサなどの周辺機器をデベロッパーが開発。ユニバーサルロボットが開発されたものを検証、認証し「UR+」製品としてグローバルで販売するという仕組みが国内でも浸透した。
基本的には「UR+」製品は、URロボットのティーチングペンダントを通して設定できるため、ユーザーやシステムインテグレータがシステム構築などにかかる費用やコストを削減できるという利点がある。
現在この「UR+」にはグローバルで400社以上が参加。日本企業も2019年8月にキヤノン、同年11月にシナノケンシが「UR+」への参加を発表するなど、拡大を続けている。
加えて、URのディストリビューションパートナーはグローバルで700社以上存在し「合計1100社に及ぶエコシステムを生かし、エンドユーザーのサポートを実現していく」など国内外での存在感が増しているように感じる。
4.スキューズ株式会社 http://www.squse.co.jp/
スキューズは生産支援ロボットと人手作業を代替えする要素技術開発のメーカーである。注目した展示として、「柔軟物、不定形物を掴めるロボットハンド」と「人手作業の代替をターゲットにした、新開発の“N軸”ロボット(開発中)」である。
ロボットハンドは、段取り替えが不要な人間の手のようなロボットハンドでお弁当の具材のような形や大きさが違うものをつぶさずにピッキングできるハンドで伸縮ができるマッキンベン型アクチュエータの空気駆動人工筋を利用している。ハンドに手袋を装着すれば衛生環境の食品工場向けにも利用が可能と感じる。
新開発の“N軸”ロボットは食品工場や部品工場の人手作業の代替に利用可能でダイレクトティーチング機能を搭載したロボットである。熟練作業者の人手作業を効率的にロボットで補えるようにデモ機の展示の紹介から現在開発を進めている模様であった。
5.オムロン株式会社 https://www.fa.omron.co.jp/
段取り替えにともなうこまかい部品のズレを自動で吸収し、組付けを行う新しいロボット技術を披露していた(開発中)。
工場の現場では、製造する品目に対して最適な生産ラインを構築する。そして、品目が変われば段取り替えを行い、その別の品目に対して最適な生産ラインをつくる。一品一様のカスタム製品を大量生産の生産性で実現する「マスカスタマイゼーション」が求められている。昨今、この段替えにともなう設備機械やロボットの動作の調整が、生産技術の担当者を悩ませている。たとえば、ロボットがこまかい部品の組付けを行う工程で段取り替えにともない、ロボットの制御プログラムを変更し、最適な作業を行えるように調整する。
デジタルツイン技術などの進展により、そうした作業はスムースに実現できるようになりつつある。しかし、どうしても小さな部品のズレが発生する。たとえそれが数ミクロンでも、ロボットの不具合や不良品の発生につながってしまう。そのため、時間をかけてロボットの制御をこまかく設定し直す必要がある。しかし、段取り替えを行うたびにそれを行っていては、生産技術の担当者にとってあまりに大きな負担になる。そこで、同社が開発しているのが、ロボットが自律的に細かい部品のズレを吸収し、部品の組付けを行う技術である。ロボットは、まずカメラで組付けを行う部品の位置を特定する。そして、3つの「指」でリング状の部品をつかみ、筒状の部品にはめる。このとき、リングを持ったまま筒状の部品に触れると、その部品が置かれている位置や角度のズレに応じて、リングがかたむいたり、ずれたりする(「指」はバネ状のやわらかい部品からできている)。「指」にはモーターとエンコーダが搭載されており、ロボットはそのズレ具合を検知し、リングをうまくはめることができる。人が指先の感覚で細かい作業をたくみに行うのと似た原理である。
なお、ロボットには「眼」の役割をになうカメラも搭載されている。カメラでも10 mm程度のズレなら調整できるが、1~10ミクロン単位のクリアランスまでは吸収できない。この技術があれば、ロボット自体に数ミクロンの精度はなくてもいい。また、製造する品目が変わるたびに、ロボットの設定をこまかく調整する必要がなくなるのだ。また、同社は、こうした「指先」の繰り返し動作から得られるセンシング情報をAIに学習させ、「形状の異なる部品」に対しても自動でクリアランスを吸収し、組付けできる技術も研究開発が進められている。
6.シナノケンシ株式会社 https://jp.aspina-group.com/ja/
精密小型モーターメーカーのシナノケンシが、ロボットハンドの市場投入を始めた。同社は2年前の国際ロボット展でロボットハンドの試作品を発表していたが、その後も展示会などでアピールをしながら、このほど電動3爪ロボットハンド「ARH305A」を製品化し出展していた。日本のロボットハンドメーカーにおいてユニバーサルロボットのUR+の認証を取得したのはシナノケンシが初めてである。
出展したARH305Aはさまざまな特徴を持っている。例えば、ハンドの手のひら中央部に穴がある中空構造を採用している。この穴は使う人のアイデア次第で自在に活用できる。例えばカメラを通せば、つかむ対象物を認識できるし、二次元バーコードも読み取れる。ライトも通せるし、エアーノズルを通せば簡易的なエアーブローもできる。「使い方次第で、システムに付加価値を付けられるロボットハンドといえる。
モーターメーカーならではのノウハウも生かし、モーターとコントローラーを一体で設計することでコンパクトな製品サイズを実現している。爪の開閉速度や動作開始位置の制御もできる。そのため対象物の硬さに合わせてつかむ力も制御できることから、変形しやすい軟らかい物も持ち上げられる。爪は簡単に付け替えられる構造だが、標準爪だけでも多様な物を掴めることをアピールしていた。
展示会場での動作デモではテニスボール大の軟らかいボールと細い綿棒、お弁当に入れるおかずカップを一つの標準爪でつかんでみせていた。変形しやすいおかずカップまで持ち上げて搬送できるのは、繊細な把持力制御ができるこの製品ならではと感じる。
7.株式会社コスメック http://www.kosmek.co.jp/
コスメックはロボットハンドチェンジャーのメーカーであらゆる作業を1台のロボットで完結すべく多機能化を実現するツールである。それによりツール交換時間の短縮、生産性の向上をアピールするロボットハンドチェンジャーを出展していた。
業界「最小」「最軽量」「最高出力」クラスで0.5kg~230kg可搬(7サイズ)のラインナップを揃えさまざまな場面での使用を想定していた。
特長は、①高精度、②高剛性、③高寿命でロボットハンドチェンジャーに起こる問題点「ロボットのスピードが上がらない」「不可の高い作業ができない」「チェンジャーのガタでチョコ停が起こる」などの課題解決に有効であることを強調していた。
またツール側の関係製品も搬送に最適なロボットハンド(チャック)や仮保持機能を内蔵したキャッチシリンダ等もラインナップしていることからあらゆる工程での段取り替えに対して、自動化を行い工程間の作業短縮が可能であることを提案していた。
8.ダブル技研株式会社 http://www.j-d.co.jp/
ダブル技研はロボットハンドメーカーである。さまざまな形状のワークを把持する可変合成機構付きロボットハンドに定評がある。
産学官共同(NEDO、都立産業技術高専、ダブル技研)にて開発した3本指ロボットハンドを開発し、製造業・物流業向けに参入を狙っている。 同ロボットハンドは、1つの駆動装置で各指が物の形状に合わせ、把持対象物の複雑な形状に対応することができるほか、各指の姿勢を任意の位置で固定(ロック)する機構により、ハンドリング位置を決める精度の向上が実現されている。
これにより、従来は把持する物に応じてロボットハンドを交換して対応していた生産ラインや、多品種を扱う物流倉庫などにおけるピッキング作業の自動化、ロボットハンド導入のコストの低減への貢献が期待できると感じた。多様性に対応したハンド開発を期待したい。
9.BL. AUTOTEC株式会社 https://www.bl-autotec.co.jp/
ビー・エル・オートテックはエンドエフェクター自動交換装置、回転テーブル用回転継手、力覚センサ、位置誤差修正装置のメーカーである。
特に注目したのはロボットハンド用の触覚センサの展示である。触覚センサは、(株)太田廣、(株)伊藤美藝社製版所との共同開発でJST(科学技術振興機構)と新あいち創造研究開発事業の支援で開発が進められているセンサである。
展示されていた「触覚センサ」は、人間の手が持っている触覚情報(力、滑りやすいさ、表面性状、温度)などを検出できる優れた機能を人工的に作り出したものである。ロボットハンドの指先で対象物との力学的関係(触覚情報)を検出する次世代のセンサといえる。
材質はゴムエラストマーで内部には液体ジェルが充填されていて温度によりゴム自身が変色するなど大変興味深いものであった。デモ機の多関節ロボットのハンドにセンサが装着されていて軟質なパンのピックアップ搬送の実演がされていた。この知覚センサの基本特許は中部大学工学部ロボット理工学科 大日方五郎教授 考案特許第4621827号、US PAT.US7707001B2で特許登録されている技術である。触覚センサとしてハンドの指先への装着が容易になれば実用化に向けて期待できる技術と感じた。
10.株式会社東和コーポレーション https://www.robo-glove.jp/
産業用ロボット向け手袋「ロボグローブ」を展示していた。2019年に立ち上げた新規事業であり「70年以上の歴史を持つ手袋メーカーとして、ロボットの作業効率と保護を追求して開発した」との紹介があった。
ロボグローブは、人手不足に対応して今後の市場拡大が見込まれる産業用ロボットや協働ロボットのグリッパーにはめて使うための製品になる。
最大の特徴は、優れた把持力を実現する滑り止め加工「マイクロフィニッシュ」を採用、人向けの作業用手袋としてグローバルであるが、ロボグローブではドライ環境に加えて、水やオイルが存在する環境でも把持力を大幅に高められる。
製品は、グリッパー全体を保護する「GLOVE TYPE」、指の部分だけを保護し簡単に装着できる「FINGER TYPE」、グリッパーの指先表面に張り付ける「SHEET TYPE」、ロボット本体も守る「FULL COVER TYPE」が展示されていた。食品業界向けについても準備を進めている説明があった。
11.THK株式会社 https://www.thk.com/
THKは直動リニアガイドなどの要素機器メーカーである。
搬送・組立・溶接などのライン構築を実現するロボットをアクチュエータとユニットを組み合わせたロボット走行軸用モジュールを展示していた。
システムインテグレーションのデモ機としてカワダロボティクスの双腕ロボットNEXTAGEを組み合わせたAGVユニットや走行軸モジュールと組み合わせたスライダーユニットなどが紹介されていた。
その他要素機器として多種形状のワークに対応した製造ラインをサポートする“ならいハンド” や“ピッキングロボットハンドシステム PRS”は興味深い展示であった。
要素機器メーカーであるが、“自律移動制御システムの走行ロボットSIGNAS”やサービス向けロボットなど多岐に渡って新製品が導入されていたのが印象深い。
12.トヨタ自動車 https://www.toyota.co.jp/
トヨタ自動車のブースでデモ展示されていたパートナーロボットT-HR3は未来の遠隔操縦を創造する技術として紹介がされていた。
T-HR3のコア技術であるトルクサーボモジュールは、トルクセンサー、モーターや減速機などから構成され、トヨタが多摩川精機株式会社および日本電産コパル電子株式会社と共同で開発を進めてきた。
トルクサーボモジュールは、内蔵された高感度トルクセンサーによりトルクを感知し、意図したトルクを出力できるよう、モーターを制御するものである。これにより、ロボットの関節を柔軟に制御することでしなやかな動きを実現するとともに、ロボットが外から受ける力を操縦者に伝えることができる。
このトルクサーボモジュールは、T-HR3の関節29か所とマスター操縦システムの16か所に配置されている。
また、このトルクサーボモジュールとマスターアーム、マスターフット、ヘッドマウントディスプレイから構成されるマスター操縦システムにより、ロボットの全身を直感的に操ることが可能となった。操縦者は、ロボットに搭載されたステレオカメラに映し出される立体映像を、ヘッドマウントディスプレイを通じてリアルタイムで確認しながら、マスターアームやマスターフットを通じて、あたかも操縦者の分身であるかのような感覚で、離れた場所からT-HR3を操縦することができる。
さらに近い将来、マスター操縦システムが小型になり持ち運び可能なロボットスーツになると遠隔作業がどこにいてもできるようになるのではないかと感じられた。
13.スマート農業ブース 産学官連携事業 他 https://www.naro.affrc.go.jp/
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立命館大学/オサダ農機:キャベツ収穫ロボット
キャベツを自動収穫するロボットでAIを搭載しコンテナ自動運搬を特徴で運転手・作業者が不要で収穫ができる。コンテナの自動収納の開発を進め全自動化による省人化・省力化を目指している。 -
パナソニック:トマト収穫ロボット
トマトの自動収穫ロボットでミニトマトをもぎ取り収穫を行う。昼夜を問わず収穫を可能とする開発が進められている。製品化に向け実証試験を行っていて、将来的には他の作物への水平展開を模索中である。 -
イチゴ収穫ロボット:宇都宮大学/アイ・イート
イチゴ収穫ロボットは画像認識で熟したイチゴを判別し、柔らかい果実を傷つけずに自動で収穫するシステムの開発を行っている。収穫時の搬送ロポットはセンサによる追随走行で重量野菜などの搬送支援が可能になっていた。 -
農研機構:自動運転田植機
無人で田植えができる農業用ロボットで、スピーディーで正確な田植えを実現、誰でもベテラン同様の作業が実現できる。現在実用化に向けてメーカーと協議を進めている。 -
東京大学/三陽機器:自律走行小型草刈りロボット
水田の畦畔を自走し、草を刈るロボット。小型のエンジンを搭載して、自律走行のロボットである。 -
シブヤ精機:RHIロボット選果システム
青果物の選果選別・箱詰め作業の自動化・省人化に貢献するロボットである。 リアルハブテックス技術を応用し、軟弱で不定形な青果物を優しく、柔軟にハンドリングするロボットハンドに特徴を持たせたシステムである。
14.高丸工業株式会社 https://www.takamaru.com/
高丸工業は、水産業における「カキ養殖用ホタテ貝殻レーザー穴開けロボット」の展示デモ機が出展されていた。
今回、同社が展示したカキ養殖用ホタテ貝殻レーザー穴開けロボットは、従来手作業で行われていたホタテ貝の貝殻の中央に穴を開ける作業を自動化するもの。実際に、広島県のカキの養殖業者から依頼を受けて、開発、納入したものを展示会向けにサイズダウンして持ち込んだことが紹介されていた。
15.株式会社 FAプロダクツ TEAM CROSS FA https://connected-engineering.com/
FAプロダクツは製造業のスマートファクトリー化やスマートエネルギー化を総合的に支援しているシステムインテグレータである。
デジタルファクトリー構築を中核に新しい価値を創出するコンソーシアム「TEME CROSS FA」の幹事企業として活躍している。
FAプロダンツが強みとしているのは、業種を問わず、製造現場で抱えている「ロボット化」「自動化」において多数の実績を持つほか、デジタルファクトリー構築を核に全体最適を考慮した新工場(スマートファクトリー)プロジェクトの推進に強みをもっている企業で注目するシステムインテグレータである。
所見:
今回の国際ロボット展は大きく3つのエリアに分かれていたこと、規模が大きく各ブースを視察するには時間と体力が必要であった。尚且つ、東京ビックサイト西・南ホールと晴海会場の移動はシャトルバスを利用するなど2日間でブースすべてを視察することはできなかった。レポートに取り上げていないが視察したその他の各ブースも独自の強みを活かした展示をアピールしていた。展示会場の小間を大きくとっていたメーカーは実装ラインを想定したシステム展示をしていて、生産ラインへのロボット導入に向けた紹介が多数見られた。最初にも上げた4つの“キーテーマ”の取り組みが各メーカー・団体とも比重が大きく強みを前面に各種のアプリケーション、システムなどの実機・実装に向けた提案が揃ってきた感じである。
次世代型の人工知能・ロボット組込み型の生産システムの展示が未来型の工場を予見させてくれた一方で、製造業だけでなく農業・水産業においてもロボット導入が盛んのように感じた。次回の展示会では“未来の無人化工場”に近づくような技術革新を期待したい。
以上