「FOOMA JAPAN 2024」視察_2024.06.04 – 05

◇「FOOMA JAPAN 2024」視察_2024.06.04 – 05

会場: 東京ビッグサイト東展示棟1~8ホール3
主催: 一般社団法人 日本食品機械工業会
開催規模: 出展社数:989社、総来場者数:113,777人(海外からの来場者5,541人)
開催期間: 6月4日(火)~ 7日(金)の4日間
開催テーマ:「Breakthrough FOOMA」FOOMA JAPANはダントツ。

東京ビッグサイト展示棟前

東京ビッグサイト展示棟前

◇視察目的:
 食品機械・装置および関連機器に関する最新技術ならびに業界情報など食品機械の最先端テクノロジー、製品、サービスの動向調査を目的に視察する。特に人材不足に伴う製造ラインの自動化・省人化・省力化、FOOMAアワードにノミネートとされた食品機械・装置に注目し視察する。

◇全般的な展示内容:
 出展社数は過去最高の989社で食品製造に関わる全てのソリューションが揃っている展示会で、毎年10万人規模の来場者数となっている。昨年と比較して出展社数増加の分野は、食品製造・加工分野、包装・充填分野、そしてロボット・IT・IOT・フードテック分野、環境対策・省エネ・リサイクル分野が関心の高さが見られる。

Focus 1:「自動化・省人化・省力化機械・装置」

1 – 1. 株式会社FingerVision http://fingervision.jp
注目製品:「触覚センサ付き具材盛付ロボット」
用途:お弁当惣菜の盛付
 触覚センサ付き具材盛付ロボットによるデモ展示をしていた。触覚センサ「FingerVision」は、カメラをベースに触覚を再現する。シリコン製のハンドの表面に黒点が埋め込まれており、対象を把持した時の黒点の動きを内部のカメラで捉え、外力や滑りの分布などを画像処理によって解析することで触覚に変換し、ロボットをフィードバック制御することが可能なシステム。
 食材は多くの種類があり、さらに不定形で壊れやすいため、自動化が困難な領域だった。同センサによって食材を持った時の滑りを検出し、これまでロボットでは難しかった具材を落とさずにハンドリングすることを可能にしている。

写真1 – 1.「触覚センサ付き具材盛付ロボット」

写真1 – 1.「触覚センサ付き具材盛付ロボット」

1 – 2. 株式会社アールティ https://rt-net.jp/
注目製品:「Foodlyセル生産システム」
用途:多品種少量生産のセル生産
 ブースのロボット展示では、いかに人手をかけずに今までと同様の生産を行うFoodlyを使った製造ライン、システムをテーマとして展示。実際に、セル生産による丼もの生産システムではイクラ丼を製造し、から揚げパック詰め生産システムでは個数を指定したパックを作り続けるシステムのデモ展示をしていた。
 特にイクラ丼の生産システムは、鈴茂器工株式会社製の飯盛りロボットFuwaricaを全自動化し、ベルトコンベアで運ばれてきた丼に自動で飯を盛り付け、イクラを盛り付けるという作業になり、複数の作業を自動化できる事例として紹介していた。
<プレスリリース>https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000069918.html
<動画>https://youtu.be/jTGhCdyLZCg

写真1 – 2 – 1.「Foodlyセル生産システム(いくら丼のトッピング)」

写真1 – 2 – 1.「Foodlyセル生産システム(いくら丼のトッピング)」

写真1 – 2 – 2.「Foodlyセル生産システム(から揚げのトッピング)」

写真1 – 2 – 2.「Foodlyセル生産システム(から揚げのトッピング)」

1 – 3. コネクテッドロボティクス株式会社 https://connected-robotics.com/
注目製品:惣菜盛付ロボット「Delibot」
用途:惣菜をトレーに盛り付ける作業
 盛付ロボット(Delibot)は不定形の食材を一定量測ってトレーに盛り付ける。省スペースでの設計技術を活かして人と協働し、段取り替えが多い惣菜の盛付工程の省人化や自動化を行うことができる。盛付工程では商品の切り替えが多いこともあり段取り作業を急ぐ必要がある。それに対応するため簡単に商品選択ができるアプリがあり、ハンド交換もマグネット等の接続で簡単に、誰でも段取り替えが可能となっている。
 多数台連携を取りながら人と同等のスピードで食材を盛り付けることが可能となり、1ライン1,000食/時を達成している。
<動画>https://youtu.be/9Udr5g_MO9Q

写真1 – 3. 惣菜盛付ロボット「Delibot」

写真1 – 3. 惣菜盛付ロボット「Delibot」

1 – 4. ファナック株式会社 https://www.fanuc.co.jp
注目製品:食品仕様の協働ロボット「CRX Food-Grade(フードグレード)」
用途:食品に直接模様を描く(職人技の教示など)
 食品仕様の協働ロボット「CRX Food-Grade(フードグレード)」を使い、食品サンプルの上面に模様を描くデモ展示をしていた。ブースにはティーチング(教示)用のロボットを設置し、アームを人の手で動かすダイレクトティーチングで模様を描く動作を教示する。その教示データに基づき、2台のロボットがコンベヤ上を流れる食品サンプルに模様を描く。
 例えばケーキ職人が丁寧に時間をかけて教示した模様の量産も実現できると紹介していた。

写真1 – 4. 食品仕様の協働ロボット「CRX Food-Grade(フードグレード)」

写真1 – 4. 食品仕様の協働ロボット「CRX Food-Grade(フードグレード)」

1 – 5. 株式会社安川電機 https://www.e-mechatronics.com/
注目製品:食品仕様ロボット「MOTOMAN-GP8」「SLS(Stainless Labyrinth Shell)ロボ」
用途: 食品に直接触れる工程の自動化
 食品仕様の垂直多関節ロボット「MOTOMAN-GP8」と、同じく食品仕様のスカラロボット「SLS(Stainless Labyrinth Shell)ロボ」を用いたトッピングや充填作業の自動化セルもデモ展示していた。  MOTOMAN-GP8を使ったトッピング自動化セルと、SLSロボを使った充填作業の自動化セルは、低重心な上にキャスターが付いており移設が容易だ。水や洗剤での洗浄も可能となっている。
 SLSロボではZ軸からの万が一の異物混入を防ぐため、Z軸を先端ではなくベースの方に持たせてある。先端の回転軸などは、シール材ではなく機構的に密封する特殊ラビリンス構造によって、水などの内部への侵入や、ねじなどの外部への落下を防いでいる。ロボット単体ではなく、システムとしての提供を予定している。SLSロボもMOTOMAN-GP8と同様、各軸の可動部やギヤに塗布、充填されているグリスは、万が一ラインに混入しても極力健康に被害を与えない食品グリスを使用。標準のセルの幅は600mmで人の作業スペースとほぼ同等になっている。

写真1 – 5. 食品仕様ロボット「MOTOMAN-GP8」「SLS(Stainless Labyrinth Shell)ロボ」

写真1 – 5. 食品仕様ロボット「MOTOMAN-GP8」「SLS(Stainless Labyrinth Shell)ロボ」

1 – 6. 株式会社ブリヂストン https://www.bridgestone.co.jp/products/softrobotics/
注目製品:ソフトロボットハンド「TETOTE」
用途:ロボットのエンドエフェクタ(ロボットハンド)
 人の手でもない、ロボットハンドでもない、第3のハンドと紹介していた。食品だけでなく、飲料を扱う展示ブースでは、ブリヂストンの社内ベンチャーであるブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズは、ブース内でAIとソフトロボットハンドを活用したカクテルバーを開き、他社の展示とは一味違った体験を提供していた。AIカメラが来場者の表情を読み取り、その気分と表情に合わせたカクテルレシピを作成。ロボットがその場でオリジナルカクテルを作るというデモを行っていた。
 協働ロボットが銀色のシェイカーボトルで材料を調合してシェイクし、同社のロボットハンドでサクランボをトッピングし、受け渡し口まで運ぶ。「このカクテルバーはホテルや空港のラウンジなどへの導入を想定している。

写真1 – 6. ソフトロボットハンド「TETOTE」

写真1 – 6. ソフトロボットハンド「TETOTE」

1 – 7. 大森機械工業株式会社 https://www.omori.co.jp/
注目製品:「リニア搬送システム」
用途:包装・充填
 三菱電機のリニア搬送システム「リニアトラックシステム」と産業用ロボットを活用し、お菓子の箱詰めをイメージした自動化システムを展示していた。リニア搬送システムの可動子に取り付けた容器に焼き菓子などを投入する際、衝撃を逃がす動作をしながら受け取り、お菓子の割れなどを防止し、可動子を個別に制御できるリニア搬送システムの特徴を生かした使い方ができる。
 ブースでは、ホットメルト式シール装置を搭載した逆型ピロー包装機「NSW – 7600 BX」と組み合わせた包装ラインがデモ展示されていた。包装機の供給部にリニア搬送式製品集積装置を採用したことで、安定した製品供給を実現し、稼働率向上に貢献するシステムとなっていた。

写真1 – 7. 「リニア搬送システム」

写真1 – 7. 「リニア搬送システム」

1 – 8. 株式会社フジキカイ https://www.fujikikai-inc.co.jp
注目製品:「リニア搬送包装システム」
用途:包装・充填
 リニア技術を活用した次世代包装システムとして「リニア搬送包装システム」を展示していた。展示されていた「リニア搬送包装システム」は、包装ライン全体を最適な搬送を行う装置システムとして「ACOPOStrak(アコポストラック)」と呼ばれるB&R社のトラックベーステクノロジーの特徴を活かし、2種類の包装資材を把持するシャトルを導入していて、「チャック付パウチ」と「カートン」といった2つの包装工程を、1つのラインの中で実現。同じシャトルを利用しつつ、反対側で全く異なる包装作業を行えるため、省スペース・低コストのほか、部品交換に要する時間なども効果的に短縮できる。ループ内を走行するシャトルは、サイドレーンから送ることができるので、メンテナンス時には、機械の稼働を停めずにシャトルの交換が可能になっている。
 またシャトルには個々にQRコードが刻印されており、走行中にQRコードリーダで読み取りを行い走行距離や稼働管理をリアルタイムで実施できるようになっている。
<動画>https://youtu.be/ZnRvxNUuQCI

写真1 – 8.「リニア搬送包装システム」

写真1 – 8.「リニア搬送包装システム」

1 – 9. オークラ輸送機株式会社 https://www.okurayusoki.co.jp/
注目製品:「食品搬送コンベヤライン(個包装品搬送ライン)」
用途:搬送・包装ライン
 ブースでは、ピロー包装されたお菓子の搬送ラインのデモ展示がされていた。アルミコンベヤ「ベルコンミニⅢシリーズ」の多彩なアプリケーション装置やコンベヤユニットを組み込みフレキシブルな流れを可能にする6つの注目装置を紹介していた。
 6つの注目装置は、➀ 回転式反転装置、➁ 2列式ターンコンベヤ、③ 反転シュート装置、④ プレート式反転装置、➄ フラットナ、⑥ ねじり反転コンベヤで構成されたデモ装置が展示がされていた。これらについては以下の動画で紹介しているので詳細な説明は割愛する。
<動画>https://youtu.be/qw-_Vmh5SyQ

写真1 – 9 – 1 .「食品搬送コンベヤライン(個包装品搬送ライン)」

写真1 – 9 – 1 .「食品搬送コンベヤライン(個包装品搬送ライン)」
➀ 回転式反転装置、➁ 2列式ターンコンベヤ

写真1 – 9 – 2 .「食品搬送コンベヤライン(個包装品搬送ライン)」

写真1 – 9 – 2 .「食品搬送コンベヤライン(個包装品搬送ライン)」
③ 反転シュート装置、④ プレート式反転装置、➄ フラットナ、⑥ ねじり反転コンベヤ

1 – 10. 株式会社椿本チエイン https://www.tsubakimoto.jp/
注目製品:世界最小サイズ「ステンレスドライブチェーン(開発品)」
用途:ロボットエンドエフェクタのドライブユニット
 世界最小ピッチ(同社調べ)の超小型チェーン「RS6-SS」(開発品)と協働ロボットを用いたデモ展示をしていた。RS6-SSはチェーンのピンとピンの間の距離であるピッチ間が1.905mm、幅が約3mm、高さが約2mm、重量は1m当たり17gという極めて小さいドライブチェーン。
 デモでは、RS6-SSなどで構成されたロボットハンドが屈曲などをしながら、ビンの細い口にぶつからずに小さなボールを出し入れする様子などを披露していた。ハンド部分にはThinkerの近接覚センサが使われており、ビンとの距離などをセンシングしている。
 ドライブチェーンはスプロケットの歯車にかみ合って動力を伝達するため、小さくても力強い動作が可能となる。シームレス構造のブシュを採用し、プレ給油のみで高い摩耗寿命を実現している。ステンレス製で腐食などにも強く、手術支援ロボットのハンド部分での活用などを想定しての展示。
<動画>https://youtu.be/suByieu825E

写真1 – 10. 世界最小サイズ「ステンレスドライブチェーン(開発品)」

写真1 – 10. 世界最小サイズ「ステンレスドライブチェーン(開発品)」

Focus 2:「第3回FOOMAアワード 2024」

 FOOMAアワードは、一般社団法人日本食品機械工業会が優秀な食品機械・装置を顕彰する表彰制度で2022年に創設されもので、今回で3回目となることから最優秀ノミネート製品を視察した。今回の最優秀賞は不二精機株式会社のパスタ供給装置(DHP)に決定された。

FOOMAアワードコーナー 東2ホール前 ガレリア

FOOMAアワードコーナー 東2ホール前 ガレリア

【第3回FOOMAアワード 2024 最優秀ノミネート製品】

2 – 1. 不二精機株式会社 https://www.fuji-seiki.co.jp/
製品名(形式名):「パスタ供給装置(DHP)」最優秀賞
用途:麺をほぐして分割し、容器の上に盛り付ける装置
・『麺をほぐす作業』、『計量し盛り付ける作業』、『容器を1枚ずつ出す作業』を自動化
・人手が掛かるパスタの盛付を省人化
・麺をほぐして絡まりをほどく為、食べやすさ向上
・麺を切らない「フォークシャッター」で、品質を維持した定量分割
・フォークシャッター位置調整によりグラム調整が可能
・サイズ、形状、材質等の様々な容器に対応

写真2 – 1. 「パスタ供給装置(DHP)」

写真2 – 1. 「パスタ供給装置(DHP)」

2 – 2. 株式会社イシダ https://www.ishida.co.jp/ww/jp/
製品名(形式名):マッチング計量機(GCW-V)
用途:食品を把持し、計量し、搬送する機械
・これまで定量計量の自動化が困難だった麺類や総菜類の自動計量を実現
・歩留まりと稼働率を両立する、独自の「マッチング計量」
・商品を確実に把持・開放する独自形状のハンドを開発。簡単に着脱でき、商品に適したハンドに取り替えることで、1台でさまざまな品種に対応
・付着箇所を少なくすることで計量誤差を抑える装置構成、把持量のコントロール、ハンドの振り落とし動作等の先進技術により、実運用に応える高精度を実現
<動画>https://youtu.be/PeInaLhiWZo

写真2 – 2 マッチング計量機(GCW-V)

写真2 – 2 マッチング計量機(GCW-V)

2 – 3. 株式会社品川工業所 http://qqqshinagawa.co.jp/
製品名(形式名):真空フライヤー(VF/VFB-1~150)
用途:食品を真空フライする装置
・一般的な調理工程で行われる180℃前後のフライではなく、フライ温度として70℃~130℃(食材の特性により調整)の温度帯を使用し、真空域にてフライ工程を行う装置
・独自の真空域で高速脱油する回転機構は、含油率が少ないヘルシーな真空フライ商品に仕上げる
・真空下で酸化防止しながら油濾過する「油濾過装置」や、多品種加工のアレルゲン対応には「CIP洗浄対応」を新たにオプションとして追加

写真2 – 3. 真空フライヤー(VF/VFB-1~150)

写真2 – 3. 真空フライヤー(VF/VFB-1~150)

2 – 4. ツカサ工業株式会社 https://www.tsukasa-ind.co.jp/
製品名(形式名):ディバイダースケール・ターミナル着脱型(DSC-TDP-4-DE)
用途:複数の粉体食品原料を自動で小分け計量供給する装置
・1ユニットで最大4種類の自動配合計量が可能
・ストッカを入れ替えることができる為、原料が異なる様々な配合に対応可能
・集塵機内蔵により計量時の粉塵飛散を防止
・生産システムと連携し、上位より生産指示をすることにより、製造現場で配合情報を公開することなく、計量が可能
・投入原料を識別(バーコード、QRコード、袋表面画像)することにより原料の誤投入を防止
<動画>https://youtu.be/vuoPiSGU2h0

写真2 – 4. ディバイダースケール・ターミナル着脱型(DSC-TDP-4-DE)

写真2 – 4. ディバイダースケール・ターミナル着脱型(DSC-TDP-4-DE)

2 – 5. 株式会社日本キャリア工業 https://nippon-career.co.jp/
製品名(形式名):こまぎれ肉自動盛付スライサー「ミートパッカー(KP-150)」
用途:小肉塊をスライスしてトレーに自動で盛り付ける装置
・豚肉等の端材をまとめてスライスし、トレーに自動的に盛り付ける装置
・投入した端材に圧力をかけてすき間をなくし、一回に切り出されるこまぎれ肉を定量化
切り出し回数の設定により、所望の重量のトレー盛付商品を生産
・コンベアの終端部を自動的に往復移動させ、こまぎれ肉をトレーに均等に盛付
・盛付工程の自動化により、工場において大幅な省人化(3~4人に相当)を実現し、人手が触れず衛生的であり食の安全・安心にも寄与

写真2 – 5. こまぎれ肉自動盛付スライサー「ミートパッカー(KP-150)」

写真2 – 5. こまぎれ肉自動盛付スライサー「ミートパッカー(KP-150)」

2 – 6. ワタナベフーマック株式会社 https://www.foodmach.co.jp/
製品名(形式名):ポーションカッター(WIX-S180GNS/WIX-S180G2S)
用途:鶏肉を指定した重量範囲内でカットする装置
・X線検査装置の推定質量機能により、裏面から内部空洞までフルスキャンして高精度定量カット
・カットと同時に異物検査を行い、金属や硬骨の見逃しを防ぎ異物混入リスク低減
・多彩なカットモードの搭載と、一次カットと二次カットを組み合わせた高精度カットで歩留まり向上
・特殊刃物を使用した高速カッターで、鶏肉の皮をはがすことなくカットし商品品質向上
・刃物やベルトなどは着脱式で分解洗浄、水洗いが可能で衛生性向上
<動画>https://youtu.be/DmUuyTO9DH4

写真2 – 6. ポーションカッター(WIX-S180GNS/WIX-S180G2S)

写真2 – 6. ポーションカッター(WIX-S180GNS/WIX-S180G2S)

Focus 3:「その他、注目技術、機械・装置」

 革新的なアイデアを持つスタートアップ企業の出展社ゾーンでは、最新製品・サービスのピッチプレゼンが実施されていた。スタートアップゾーンで注目した2社について視察。

スタートアップゾーン 東7ホール

スタートアップゾーン 東7ホール

【スタートアップゾーン】

3 – 1. 株式会社Thinker https://www.thinker-robotics.co.jp/
注目製品:ロボットハンド装着用「近接覚センサ」
用途:ロボットエンドエフェクタに装着する近接覚センサ
・ロボットの「つかむ」を進化させる最新技術
 赤外線を用いた独自のセンシング技術によって、対象物の位置と姿勢を非接触のまま把握することで、これまでロボットが苦手としていた対象物の把持にも簡単なティーチングで対応を可能とする近接覚センサ。また、近接覚センサと独自のフローティング機構を組み合わせたロボットハンドを使い、カメラ無しでのバラ積みピッキングの実装デモ展示をしていた。
<動画>https://youtu.be/9ngE1IxFgHw

写真3 – 1. ロボットハンド装着用「近接覚センサ」

写真3 – 1. ロボットハンド装着用「近接覚センサ」

3 – 2. 株式会社フツパー https://hutzper.com/
注目製品:外観検査AIソリューション「メキキバイト」
用途:外観検査
・人手不足解消・品質改善にも繋がる外観検査AIソリューション
・目視検査の代わりになる高精度外観検査が可能
 外観検査の定量評価を可能にする、箱ひげ図やヒストグラム表示を品質管理機能に実装することで、従来の定性評価では不可能だった、製品の品質ばらつきや異常値をスコアとして確認することで、製造プロセスの問題点を素早く洗い出す。外観検査自動化のみにとどまらず、品質向上と歩留まり改善にも活用できる。
<動画>https://youtu.be/EKzaTBlzygc

写真3 – 2. 外観検査AIソリューション「メキキバイト」

写真3 – 2. 外観検査AIソリューション「メキキバイト」

【アカデミックプラザ2024】

 アカデミックプラザは、毎年、産・学・官で共同研究開発を行う契機とする取り組みを大学・研究機関が主体として発表する場となっている。ポスターセッション参加大学・研究機関の中から、「流動・攪拌」をキーテーマとしている大阪大学 基礎工学研究科 流体力学グループ(後藤研究室)と国立高専(豊田・阿南・広島・鳥羽)・大同大学 マグネティックドライブ共同研究グループの研究成果について視察。

アカデミックプラザ 東5ホール前 ガレリア

アカデミックプラザ 東5ホール前 ガレリア

3 – 3. 大阪大学 基礎工学研究科 流体力学グループ(後藤研究室)
注目研究:撹拌パーツなし撹拌機(粉体および液体)
用途:食品工業における粉体や液体の撹拌・混合装置
 撹拌翼のような撹拌パーツを用いることなく、試料を混ぜることができれば、食品工業における様々なメリットがある。本研究は、液体と粉体のそれぞれに対して撹拌パーツなし撹拌機を開発。本技術では、滑らかな容器の運動のみで複雑な流れを容器内部に駆動し、試料の迅速な混合を実現することを紹介していた。

写真3 – 3. 撹拌パーツなし撹拌機(粉体および液体)

写真3 – 3. 撹拌パーツなし撹拌機(粉体および液体)

3 – 4. 国立高専(豊田・阿南・広島・鳥羽)・大同大学 マグネティックドライブ共同研究グループ
注目研究:「浮力と磁力を用いた完全非接触による液体攪拌」
用途:食品製造業における非接触型の攪拌装置
 本研究グループでは,比較的簡単な構造で安価な非接触型の攪拌装置の開発を目指し,これまでにフロート,接続軸,攪拌用プロペラ,錘から構成される回転体を浮力にて液体中に浮かせ,容器上部からネオジム磁石にて回転させる仕組みの非接触攪拌を提案していた。この非接触攪拌における最適な攪拌条件をPIV解析にて評価するとともに,高粘度液体にも対応した非接触攪拌装置を構築し,回転体に上下から動力を伝達することによって高粘度液体に対しても安定した攪拌が可能であることを紹介していた。

写真3 – 4. 浮力と磁力を用いた完全非接触による液体攪拌

写真3 – 4. 浮力と磁力を用いた完全非接触による液体攪拌

◇特別セミナー:
聴講セミナー:『来場者参加型企画「食品製造ライン自動化推進プロジェクト」』

 6月5日(水)午前に開催された『来場者参加型企画「食品製造ライン自動化推進プロジェクト」』を聴講。本セミナーは、FOOMA JAPAN 2023で開催したプロジェクトにおける聴講者アンケートや意見を踏まえて、目指すべき近未来製造ラインの方向性を提示し、食品製造ラインの自動化を推進するために必要な取り組みや課題などについてモデレータと来場参加者らと討論する形式で実施された。

写真3 – 5. セミナー配布資料

写真3 – 5. セミナー配布資料

最後に
 本展示会では、食品製造ラインの自動化に関連した技術情報の収集を主に行った。協働ロボットを組み込んだ製造ラインも増加の傾向が見られる。機械装置単体の点ではなく1本の線となるラインを構成するために機械装置単体を複数台組み合わせた複合型の包装機械や食品加工機械が多く見られるようになった。特に包装機械では「リニア搬送」の技術が今後の主流となりそうなので更なる機械装置への展開を期待したい。

以上

【参考引用先】
1. 「FOOMA JAPAN 2024 HP」https://2024archive.foomajapan.jp/
2. 展示会レポート「FOOMA JAPAN 2023」視察_2023.06.06 – 07
https://www.kimoto-proeng.com/exhibition/3547
3. 展示会レポート「FOOMA JAPAN 2022」視察_2022.06.07
https://www.kimoto-proeng.com/exhibition/2659