2020/07/06
近年、プラスチックごみの問題がニュースや新聞紙面にたびたび取り上げられるようになった。特に“海洋プラスチックごみ”など環境問題への意識が高まる動きが見られる。
プラスチックごみとは、ペットボトルやレジ袋、食品の包装材といったプラスチック製品の廃棄ごみで、国内では年間約900万トンの量が排出されている。国内では、回収後ペットボトルの原料やフリース素材、発電用燃料などに大半が有効に活用されている。
しかし一部の不法投棄によってプラスチックがごみとして海に流出し、海洋生物がのみ込むなど生態系に悪影響が出ており、世界的な環境問題になっている。
さらに国内では、7月1日から全ての小売店でもプラスチック製レジ袋が有料になるなど、脱プラスチックの動きが活発になる様相である。
この環境問題を受けて、次のターゲットとして飲料商品を扱う自動販売機でのペットボトル販売がなくなるかもしれない。
プラスチックごみの大量排出国の日本には世界から厳しい視線が向けられている。海外では、環境問題意識が高いことから、プラスチック容器の利用が制限されている。当然、日本国内の自動販売機のペットボトルには厳しい目が向けられることになるのではないか。
ペットボトルに替わる容器の候補は、アルミ缶、紙容器が有力である。かつて小学校や中学校の給食などで使われていた瓶もリターナブル可能なことから候補になる可能性がある。
ペットボトル飲料として、水は透明な容器に入れられていることから目で見て中が確認できる利点もある。しかしなから、これらの環境問題を受けて、水もアルミ缶や紙容器に移行するかもしれない。
缶(プルトップ式)は一度開けてしまうと閉められない弱点があったが、近年、開閉可能なスクリューキャップのアルミ缶(ボトル缶)が登場したことで、持ち運びも容易になった。コーヒーやお茶といった飲料では既にアルミ缶が多く使われるようになっている。
ペットボトルごみに対して実効性のある取り組みが飲料業界にも求められいることから、各飲料メーカーも取り組みが迫られることになるでだろう。
注目する動きとして業種を問わず企業の間で、SDGs(エスディージーズと読む)Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)という取り組みに積極的に参加しはじめていることである。これは17の様々なテーマで地球環境や人権などについてゴールを設定してアクションに取り組もうというものである。飲料業界もそんな取り組を前面に打ち出すことで企業価値を上げることにもつながってくるだろう。
企業活動のなかにはすでに環境に配慮した取り組みとして、持続可能なサプライチェーンの形成など行う企業が増えている。さらに植物由来のプラスチックを使用し、さらに石油由来の原料の使用を減らし温室効果ガスの排出量をライフサイクル全体で軽減する動きも今後活発になるだろう。
まずは、しっかりとレジ袋を規制し、その上でさらに削減が必要なプラスチックごみを決めなければいけない。次なるターゲットとしてペットボトルがあげられるのではないか、環境への配慮が今以上に加速する可能性があるので、食品・飲料業界の容器についても“脱プラスチック”の影響がどのような形で現れるか注視していきたい。
以上