『脱ハンコ加速?テレワークの障害とされたハンコは不要か』

『脱ハンコ加速?テレワークの障害とされたハンコは不要か』

 事務所開設と同時に事務所印(角印)と代表者印(丸印)を作成したが押印の必要がなくなってしまうと少し寂しい。現在でも電子認証による電子印での契約書の取り交わしを一部行っているが、まだ少ない。今後、電子認証が主流になって行くとハンコは不要となるのか。欧米では契約はサインが普通でハンコ文化は日本独特の文化といえる。中国でもハンコはほとんど使われていない。アジアでは、台湾くらいである。

内閣府、法務省、経済産業省はこのほど、民間企業などが取り交わす契約について、「契約書への押印は特別の決まりがない限り不要」とする見解が発表された。「テレワークを推進するため、不要な押印は省略して別の手段で代替するのが有意義」との見方が示された。

同省庁が6月19日に公開した資料では「押印がなくても文書が成立した経緯が証明できれば偽造ではないと確認できる」など、押印に関する具体的な例をもとにQ&Aで回答している。

押印についてのQ&A:PDF資料
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/document/200619document01.pdf
上記資料では、以下の設問に対する回答がされている。

問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
問2.押印に関する民事訴訟法のルールは、どのようなものか。
問3.本人による押印がなければ、民訴法第 228 条第4項が適用されないため、文書が真正に成立したことを証明できないことになるのか。
問4.文書の成立の真正が裁判上争われた場合において、文書に押印がありさえすれば、民訴法第 228 条第4項が適用され、証明の負担は軽減されることになるのか。
問5.認印や企業の角印についても、実印と同様、「二段の推定」により、文書の成立の真正について証明の負担が軽減されるのか。
問6.文書の成立の真正を証明する手段を確保するために、どのようなものが考えられるか。

一般的に、民事訴訟で契約書などの文書が証拠として認められるには、文書の作者とされる人物と実際の作者の一致を証明する必要がある。書面に押印がある場合は証明しやすくなることもあるが、民間企業による契約は当事者同士の合意によって成立するため、法的にはもとから文書化や押印は不要。押印がなくても契約の効力は変わらないという。

Q&Aではあらためて、取引の際に送ったメールのアドレスや本文、送受信の記録、本人確認書類、SNSでのやり取り、電子署名などが文書成立の証明として使えるとしていた。 内閣府らは民間企業のハンコ文化について「テレワークの推進の障害となっていると指摘されている」とし、見直しに向けて自律的な取り組みを促したいとしている。

政府主導によるデジタル化が今後推進されていくと、このハンコ文化も消滅してしまうのか注視していきたい。

以上