『球宴史上初二刀流!大リーガー大谷翔平選手はすごい』

『球宴史上初二刀流!大リーガー大谷翔平選手はすごい』

大リーグのオールスターゲームは14日(現地13日)、コロラド州デンバーのクアーズ・フィールドで行われ、初出場のエンゼルス・大谷翔平選手(27)はア・リーグの「1番・DH」で先発出場し、先発投手も務め、史上初の投打二刀流出場が実現。初回1イニングを投げ3者凡退に抑え、打ってはニゴロ、一ゴロで、2打数無安打で交代した。
大リーグでここまで成功することを予言できたものは少ないだろう。大谷選手を語る時にキーワードとなるのが、次の3つになると考える。

1. 「論語と算盤」:渋沢栄一のトレードマークである。
2. 「マンダラート」:目標を達成するための発想を図式化した表である。
3. 「育てる力」:日ハムの栗山監督の存在である。

大谷選手は高校時代からマンダラートという目標を達成するための発想を図式化した表をつくっていた(写真)

出典先:スポーツニッポン
出典先:スポーツニッポン

 9×9のマスで構成されているマンダラートの真ん中に目標を置くが、高校一年の大谷翔平選手は「ドラフト1位8球団」と書いている。それから、その目標を達成するための8つの要素が囲んでいる。例えば「スピード160キロ出す」。そして、その要素が目標となり、それを達成するために必要な8つの要素で囲む。例えば8つの要素を一つのテーマに置き換えると「腰回りを鍛える」となるだろう。
 大谷選手が日ハムに入団した後マンダラートを使用していたこと、その写メの画像が紹介されたことなど日ハムのスカウトの方が紙面に紹介した時には、すでにプロの野球選手になっていたので、真ん中の目標が変わっていた。それが「大リーグを目指す」となっていたと聞く。そして、その目標を達成する8つの要素の一つであった「人間性」を達成する要素のマスの中に書いてあった内容が目を引く。「論語と算盤を読む」であったことである。

 ご存じの通りNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公で「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一のトレードマークである「論語と算盤」は、1916年(大正5年)に出版された講演集であり、本人の想いが、今から100年以上前からの言葉として残っているものである。そして、「論語と算盤」という目標を達成するために最も重要な要素とは何か。それは、「論語と算盤」のど真ん中の存在である「と」の力である。「と」は、一見すると矛盾しているようなものを組み合わせることによって新しいものを生み出す力と考えることができ、技術者のアイデア創出の手法にも用いられる。
 YesかNo、白か黒、投手か打者という「か」の力に留まることなく、いずれ合わせることができる「と」の力である。「論語と算盤」はこの力を要求していて、この力が、これからの未来を拓くために重要であることを大谷選手は高校生のときに自分の目標達成の要素になることを考えマンダラートに書き込んでいたと思われ、そう考えるとかなりの驚きである。

 大谷選手に「論語と算盤」を読むように勧めたのは栗山英樹監督である。日ハム監督に就任2年目のとき、チームはリーグ戦で最下位であった。新米の監督である自分はプロ野球の監督は務まらないかもしれなという不安も頭に過ったと語っていた。そんなとき、読書が好きな栗山監督が『論語と算盤』を読んだことがきっかけで勧めたと聞く。大谷選手は[論語と算盤]を理解しマンダラートに書き込んだということは、上述した「と」についての考えが二刀流として「と」で進むべきことを確信できたきっかけではないかと感じ取れる。
また栗山監督自身も「論語と算盤」を読み、プロ野球の監督として、その解釈をご自身の言葉にして著書である『育てる力』という本の中で述べている。
 日ハム入団当時、大谷選手の世評は「二刀流は無理」「プロでは通用しない」というものであった。しかし、栗山監督は世間の風評にはとらわれず、逆に疑問を感じ、批判には屈せず、大谷選手の二刀流を認めて育成にあたったからこそ今の大リーガー二刀流の大谷選手が存在していると強く感じる。

以上