2022/03/08
『高校野球で甲子園に出場したことのある学校の割合を都道府県別に調べてみた!』
コロナ禍で大会の開催についても影響を多く受けている。今年の春の甲子園は、3月18日に開幕する。春は地区大会の上位校の中から選抜される。夏の大会は全国大会であり各都道府県の予選を勝ち上がり優勝校に甲子園出場の切符が与えられる。ほとんどの都道府県で数校の常連校だけが甲子園出場を巡って争っているようにも思える。そこで、都道府県別に甲子園に出場したことのある学校の割合を調べてみることにした。
その前に近年の高校野球の現状はどうなのか調べてみた。初出場校が減少してきているが、これまでに甲子園に出場したことのある学校は春夏大会を合わせて1060校ほどになる。ただし、この中には戦前には予選が開催されていた満州・朝鮮・台湾の学校や、青森師範や秋田師範といった旧制の師範学校(現在は大学に昇格)のように今では予選には参加しない学校も含まれている。また、廃校となった駒大岩見沢高(北海道)や飯塚商(福岡県)、学校は存続しているものの野球部が廃部となったPL学園高(大阪府)も入っている。
さらに少子化で高校の統合が進んでおり、甲子園出場校同士の統合も各地で起きている。東海大一高と東海大工の統合でできた東海大静岡翔洋高(静岡県)、鳴門工と鳴門第一高が統合した鳴門渦潮高(徳島県)などは有名だが、大分県では甲子園出場経験のある、別府商、別府羽室台高、別府青山高の3校が統合して別府翔青高となるなど、現存する甲子園出場校自体もかなり減少してきている。
さて本題に入ることにする。1位は鳥取県で約6割が甲子園に出場している。全国で最も甲子園出場歴がある高校が多いのは、予選参加校が最少の鳥取県で年々減少して昨年はついに22校となった。出場校の半数近い10校は、初戦に勝つとベスト8となる。そして、13校に甲子園出場経験があることから、その比率は実に59.1%になる。出場校のうち6割近くの高校が甲子園出場を果たしている。
鳥取県に次いで第2位に入っているのが、57.4%の山口県。予選参加校は54校と比較的多いのだが、実に31校もの学校が甲子園に出場している。かつては下関商、その後は宇部商の強い時期が続いたが、現在は戦国時代。次々と新しい学校が登場してくる。176校参加する神奈川県でも19校しか甲子園に出場していないことを考えると、山口県の出場校の多さは際立つ。
第3位は佐賀県の56.8%で、4位が島根県(56.4%)、5位には55.3%の宮崎県である。
一方、出場歴がある高校が最も少ないのが、176校が参加した神奈川県。かつては参加校が200校を超して全国最多だったが、県立高校の統合が進んで、現在は179校の愛知県に次いで2位。しかし、甲子園に出たことがあるのはわずか19校で、その比率はわずかに10.8%で甲子園出場が超難関である。横浜高、東海大相模高、桐蔭学園高、桐光学園高など全国に知られた強豪校が1枠を争っているため、夏の甲子園に無名の高校が出場するのは難しい。さらに選抜の21世紀枠でも同県は私立強豪校を候補として推すことが多く、まだ1度も関東・東京地区の代表にすら選ばれたことがない。
従って、新しい学校が甲子園に出場することは難しく、2009年夏の横浜隼人高以降、初出場校は1校もない。プロ野球におけるシーズン最多安打記録を持つメジャリーガー秋山翔吾(レッズ)など、近年プロに多くのOBを送り込んでいる横浜創学館高ですら甲子園には出場したことがない。同県民としては、半数以上の高校が甲子園に出場しているというのは想像を絶することである。
ちなみに、東京でも東西合わせて254校の参加校のうち、甲子園に出たことがあるのは36校にすぎず、14.0%と低い。その他、千葉県が15.9%、愛知県が16.2%、埼玉県が18.1%と5都県が2割以下。概して参加校の多い都市部では低い比率となっており、甲子園に出場できるのはごく一部の野球に力を入れている特別な学校だけとう印象が強い。
こうした中、意外なのが大阪府である。予選参加校は167校もあり、夏の大会に通常1代表しか出せない府県としては、愛知県、神奈川県に次いで多い。しかも、近年の代表校は大阪桐蔭高と履正社高が独占、それ以前はPL学園高、上宮高、近大付高、北陽高(現関大北陽高)などが多く出場していた。さらにさかのぼると、浪商(現大体大浪商高)や明星高、戦前では市岡中学(現市岡高)が強く、どの時代でも特定の強豪校が甲子園出場していた。また、神奈川県同様21世紀枠にも縁がなく、公立校が出場することも難しい。
夏の大会に向けて新しい高校が甲子園に出場することを期待しながら、春の選抜大会をテレビで観戦することにする。
以上