2022/06/20
『EV自動車の進化を加速させる推進力となるものは何か?』
脱炭素化の流れを受けた海外・国内企業の動きが活発に動いているように報道されているが、身近なところを見まわしてもEV自動車(以下EVとする)はまだ少ない。さらに充電施設については既存のガソリンスタンドのようにどこでも充電が可能といった状況にない。個人レベルでも確実にEVへの置き換えが進むだろうと予測しているが、そのスピード感、変化が緩やというのが正直な感想である。
EVの普及が緩やかなスピードに留まっている理由はいくつかあげらる。それは、価格の高さと、充電の利便性を含むハイブリッドカーが国内では優位性を高いレベルで持っている点にある。欧州系のメーカーからは、テスラやポルシェをはじめ、魅力的なバッテリー電気自動車(以下BEVとする)がいくつも上市されている。しかし、テスラもポルシェも高価格帯で簡単に手が届く人はわずだ。
BEVの代替手段の1つであるハイブリッドカーが、脱炭素化に寄与でき、かつ現状のBEVよりも充電の利便性がはるかに高い点があるだろう。ガス欠の心配よりも電欠の方が心配になるし、充電所を探し回る心配もある。国内では、代替手段としてのハイブリッドカーが脱炭素化に寄与でき、かつBEVよりも給油や充電の利便性が圧倒的に高い現状を考えてみても、ハイブリッドカーが今後も普及することはあっても、BEVがそれを上回る勢いで普及するのはまだ難しいかもしれない、と感じる。
ちなみに、政府が取りまとめた2030年の次世代自動車の普及目標によると、ガソリン車やディーゼル車の比率では、2020年の約60%から、2030年までに30~50%と半減を目指す一方で、残り50~70%を占める次世代自動車のうち、半分近くをハイブリッド車が占める(30~40%)という見立である。
これらのことを鑑みてEVシフトのスピードについて、緩やかな可能性、加速する可能性をそれぞれ考えてみる必要がありそうである。遅かれ早かれEVシフトは確実に進むだろう。そして、これから先、EVの進化を加速させる推進力として次の5つが必要と考える。
- 政府主導の「規制」によって、EVシフトへ後押し
- 国内EV充電拠点、充電時間といった課題を短期間で改善
- ユーザーニーズに合わせたモビリティの提案
- 運転支援機能(FSD)などパーソナライズされた機能の付加
- 外観デザインそのものを個別のニーズに合わせてカスタマイズ
手の届く価格帯のBEVの選択肢が豊富になり、かつ充電の面倒も少ない。そのような状況が来るには、最低でもあと数年はかかる。一気にBEVに置き替わるというよりは、まずはプラグインハイブリッド車(PHEV)やハイブリッドカーのさらなる普及があり、それに伴って充電所が徐々に拡充するといった段階を踏んで、緩やかに普及していくのではないかと感じる。ただし、これも見方を変えると国際標準のEVシフトへ乗り遅れなければよいがと危惧してしまう。
BEVが抱える2つの課題、価格の高さ、充電所の不足を一気に解決するような、例えば公道での安価なワイヤレス給電方法など走行しながら充電できるなど技術革新を後押しするような新たな政策を国には期待したい。
以上