『気温上昇の暑い夏はペットボトルに注意!』

『気温上昇の暑い夏はペットボトルに注意!』

 立秋も過ぎ、暦の上ではもう秋である。まだ残暑が残る中、少し遅い感じはあるが、ペットボトルのお話をしよう。暑い夏の日には、ペットボトルの飲み物が重宝しているが、実は暑い夏のペットボトルには注意が必要な点があるのをご存じだろうか?日頃カバンなどの中に入れて携帯しやすい500mlの小型のペットボトルは、持ち歩きやすく、キャップを開け閉めして、少しずつ、飲むことができるので、便利である。しかしながら、暑い場所に放ったままにしておくと、破裂したり、キャップが飛んだりして、けがをする危険がある。

全国の消費生活センターに寄せられた内容では、キャップが飛んで、目に当たって角膜を損傷した、あるいはキャップが車の天井の内張りを突き破り、鉄の板が破損した。という相談も寄せられてる。その他には、次のような情報が寄せられていた。
(1) 真夏に、飲み残しのペットボトルを車の中にしばらく置いて、その後、中身を捨てようとしたら、キャップが飛んで指に強く当たり、あざができた。
(2) キャップがまぶたにあたり、腫れてしまった。
(3) 暑い部屋にペットボトルを置いておいた後、キャップを開けようとしたら、ボトルが破裂した。
(4) 破裂した破片で指や唇を切った。
(5) 中に入っていた液体があふれて、目に入った。
このような声が寄せられていた。

なぜ、そのような状態になるのか?
口をつけて飲んだ時に、口の中から細菌などの微生物が、ペットボトルの中に入る。そして、その微生物が、30℃の環境で、糖分を分解する。その過程で、二酸化炭素が発生し、気体の部分が膨らんで、内側の圧力が上昇する。その結果、ボトルが膨張するという仕組みである。30℃前後というのは、菌が活発に活動しやすい温度なので注意が必要なのである。また、飲み残しの量が多いほど、発生する二酸化炭素が多くなって、破裂の危険性が高くなることは容易に想像がつく。

未開栓でも大きく変形したりするのでこれも注意が必要である。
特に炭酸飲料のボトルは注意が必要だ。気温が上がり、60℃になったことで、水分に溶けていた二酸化炭素が、ボトルの上の部分に放出されてくる。気体が増えて、ボトルの内側からの圧力が上昇した結果、膨張したり、亀裂が入ったりするということがある。炭酸の入った飲み物は、未開栓の状態でも、暑い車の中に置いておくと危険である。

飲料メーカー側でも、炭酸や糖分の入った飲み物には、耐圧性の高いボトルを使っている。ボトルに「車の中に放置しないように」とか、「キャップを開けたら、早めに飲み切ってください」と表示をするなど、対策は取ってきているが、気にして見る人は少なく限界もある。

さらに飲み残しの場合、破裂などの他にも危険なことがある。
衛生上の危険である。福岡市保健環境研究所が行った実験の報告では、飲みかけのペットボトルの麦茶を30℃の温度の中に放置して置くと、細菌の数が半日でおよそ34倍、24時間で400倍に増える。口の中の細菌がペットボトルに移って、増殖したからである。再び飲むと、おなかを壊したり、体調を崩したりする恐れがある。

一方、飲みかけの状態でも、4℃前後、つまり冷蔵庫に入れた状態だと、24時間たった時点でも、菌の増殖は、ある程度抑えられる。
暑い夏はグイグイ飲みたくなるペットボトル飲料であるが、思いもしない危険が潜んでいるので要注意!

以上