『東海道新幹線「車内ワゴン販売」終了はさびしい』

 JR東海は202388日(火)、車内でのワゴン販売を、10月末をもって終了するというニュースが流れた。関東から関西への出張は飛行機ではなく東海道新幹線を利用している。必ず出張の往復では車内販売のコーヒーやシンカンセンスゴイカタイアイス(私はカチコチアイスと呼んでいる)を購入していたので、時代の流れとはいえとてもさびしい。

 

終了の理由は「駅周辺店舗の品揃えの充実、飲食の車内への持ち込みの増加、静粛な車内環境を求めるご意見、また将来にわたる労働力不足への対応等をふまえ」となっている。どの業界も今後、労働者が減少していくことを考えると仕方がないのかもしれない。新幹線の見慣れた光景が消えて行く。

 

代わりの車内サービスとして、グリーン車のみであるが、スマホで食事や飲み物を注文できるようにするようである。注文は座席のQRコードを読み取って行う方法で行うという。また、のぞみ停車駅で、自動販売機を拡充して、車内ワゴン販売で提供されていたコーヒーやアイスなどを自動販売機にラインナップすることで、サービスを代替するといっていた。

 

乗客の中には、お弁当などを購入する際に、声をかけずにアイコンタクトや手を挙げるなどのボディランゲージで訴えかけてくる人も多い。パーサーは常に車内をくまなく見回し、乗客のサインを見落とさないようアイコンタクトをとっている。ひとりずつ目を見て、乗客の表情を確認。注文や困っていることはないかを察知する。マスク越しでも、もちろん笑顔は絶やさない。

『東海道新幹線「車内ワゴン販売」終了はさびしい』

 

注文を受けた際、ワゴンをできるだけ幅寄せし、乗客がスムーズに通過できるよう通路の空きスペースを確保している。重いワゴンを、まるでクルマの縦列駐車のように停止させるので、それなりのテクニックを要する。ワゴンのフロント部を斜め前方に大きく振り、座席に接触しないよう注意しながら、寄せたい席ギリギリにワゴンを寄せる。

 

窓側の乗客には、テーブルをお出し頂くようお願いし、専用のトレイで提供する。この際「熱いのでお気をつけください」に加え、「蓋を持つと危険ですので、側面をお持ちください」と声をかけてくれる。“お客様へ安全に美味しく召し上がっていただきたい”というパーサーの気持ちと一緒に商品を提供している。

 

鉄道客室乗務員らの礼儀正しく、エレガントな立ち居振る舞いは、乗務時だけでなく、勤務外の日常生活でも心掛けているというから頭が下がる。日頃のこうした努力が、東海道新幹線を利用する旅行客やビジネスマンの心を癒してくれるのだと思う。

以上