2024/02/05
毎晩心地よい睡眠をとれているでしょうか?国がまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の報告によると「睡眠による休養を十分にとれていない人の割合」は21.7%、およそ5人に1人になるという調査結果でした。しかも9年前の調査と比べて、3ポイントも悪化しています。
この報告をまとめるにあたり、この状況を改善するために、10年ぶりに改訂されるのが、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」です。健康のためには睡眠をどうすべきか、専門家たちの意見を基に推奨する内容がまとめられ公表されています。
必要な睡眠時間は世代によって異なってくる点がまずあげられます。本報告では、睡眠ガイドの最大のポイントは、「必要な睡眠時間は世代で違う」ことを明確に示している点にあります。子供・大人・高齢者の3世代に分けています。ここでいう「高齢者」とは、「具体的な年齢よりも、日中の活動量や社会とのつながりについての生活パターンが大きく変わったタイミングからが高齢者となります。具体的には、定年退職や子供が独立したような状況」とのことです。
本報告では、まず子どもの場合は、小学生は1日9~12時間、中高生は8~10時間を推奨しています。成人(働き盛り)は6時間以上、高齢者(寝床にいる時間)は8時間未満としています。「働き盛り世代」は 1日6時間以上必要という結果を受けて、最も睡眠不足が心配されるのが「働き盛り世代」。この世代は、睡眠時間を1日6時間以上は確保して欲しいといっています。これは「6時間がベスト」ということではなく、最低でも6時間という意味です。というのも、1日の睡眠時間が6時間を切ると、様々な病気のリスクが高くなることが今までの研究で分かってきているからです。
この働き盛り世代では、睡眠時間が6時間未満の人が、実に男性38% 女性41%にもなるのです。特に50代女性では53%と半数以上を占めています。また、日ごろの睡眠不足を解消しようと、仕方なく可能な日に「寝だめ」をしている人も多いと思いますが、寝だめで十分に睡眠がとれるので問題ない、ということはありません。
さらに、このガイドで高齢者に推奨しているのは、「寝床にいる時間を8時間未満にする」と言っています。寝床で過ごす時間(床上時間)が長いほど死亡リスクが高くなる傾向がみられ、特に8時間を超えると明確に死亡リスクが高くなったという研究報告もされています。
なぜ寝床にいる時間が長いと死亡リスクが高くなるのか?それは、「眠れないまま、もんもんとしながら長く床にいると、かえって眠りの質が落ちてしまい、寝つきが悪くなったり、夜中や明け方に目が覚めてしまったりして(眠りが薄まる)、長期的に身体に負荷を与えるためではないかと考えられる」と報告されています。
いずれにせよ、睡眠について、個人でできることには限界があります。世の中全体でこうした情報を共有して、十分な睡眠時間や睡眠休養感を得やすい、働き方や社会のしくみに変えていって欲しいと願っています。
以上