『南鳥島周辺海域に眠っている海底鉱物資源で資源大国になる⁉』

 日本の最東端・南鳥島周辺の海域には、東京大学による2016年の調査によって、鉄やマンガン、電気自動車やスマートフォンのバッテリーに使われるレアメタルのコバルトなどが含まれる海底鉱物資源「マンガンノジュール」が、広範囲に分布していることが知られていた。そこで47日をかけて詳細な調査を実施。その結果、マンガンノジュールが密集する有望な海域が特定された。また、日本の排他的経済水域にあたる南鳥島周辺の海底100km四方に、約2.3億トンものマンガンノジュールがあると判明というニユースが話題となった。

そのマンガンノジュールから取れるコバルトは、国内消費量の75年分に相当する量である。その量については「陸上にある資源と比べてみると、世界第3位の規模ぐらいのコバルトの量が存在している」と説明。海底鉱物資源で資源大国になる可能性があり、マンガンノジュールの中に入っているコバルトやニッケルは経済安全保障上、極めて重要な資源になる。今後は、商業化を目指して、開発に伴う詳細な環境影響評価が実施される。

海底鉱物資源のマンガンノジュール、またはマンガン団塊は、深海の海底に存在する球状の凝結塊で、コアの周りに水酸化鉄と水酸化マンガンが層状に凝結したもの。コアは微化石や燐灰石などのリン酸塩鉱物に置換されたサメの歯、玄武岩のデブリ、または既に形成されていた別の団塊(ノジュール)の破片であることもある。マンガンノジュールには様々な大きさがあり、小さいものは顕微鏡で観察するような微粒子、大きいものは20cm以上の大きさとなるが、直径5cm~10cm程度の大きさのものが最も多い。マンガンノジュールの表面は通常平滑であり、底面側は海底の堆積物に埋まっているため、上部より粗面となっている。

マンガンノジュールは、マンガン(27 – 30%)、ニッケル(1.25 – 1.5%)、銅(1 – 1.4%)、コバルト(0.2 – 0.25%)を含む。これらの金属は、電子機器や電池などの製造に重要な役割を果たします。そのため、マンガンノジュールは経済的に価値がある。

しかし、深海での採掘は、数万kmにも渡って深海生態系に影響を及ぼす可能性がある。そのため、マンガンノジュールの採掘と利用には、環境への影響を最小限に抑えるための配慮が必要。また、海底資源の開発は人類の共有財産として扱われ、収益は開発国と残りの国際社会で配分されるべきだという主張もある。これらの規制と環境への配慮を考慮しながら、マンガンノジュールの持つ資源を効果的に利用する方法が求められる。資源大国になれることを期待したい。

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