2024/11/24
ドジャースの大谷翔平選手が指名打者として史上初めて、自身3回目となるMVPに輝きました。大谷選手とってとても印象に残る“歴史的な1年”であったのではないでしょうか?
大谷選手の大リーグ7年目は右ひじ手術からのリハビリのため、指名打者に専念したシーズンでした。二刀流を封印したことで「バッターだけなら、どこまで成績を残すのか」に関心が集まる中、自己最多の159試合に出場してほぼ休みなくプレーを続け、打率・ホームラン・打点・盗塁のすべてで自己最高の成績をマークした。
ホームランと打点の二冠王に輝いただけではなく、OPSと呼ばれる長打率と出塁率をあわせた指標など、表彰の対象にならないランキングの多くでもリーグトップとなった。ホームランは日本選手で初めて50本を突破したほか、盗塁も日本選手最多を記録。大リーグの歴史で誰も成し遂げたことのない「50-50」の偉業を達成し、ワールドシリーズも制覇して、本人も「最高の一年だった」と振り返った、異次元の1年となった。
大谷選手は満票で3回目のMVPを獲得、両リーグでの受賞は史上2人目となった。そして指名打者としては史上初めてとなる快挙でしたが、その意義はどこにあるのか。守備につかない指名打者は長年、「打つだけの選手」というイメージを持たれることが多く、他のポジションよりチームへの総合的な貢献度は高くないという考え方が根強くあった。
今シーズンも一時は、主な成績で大谷選手に及ばないメッツのショート、リンドー選手のほうがMVPにふさわしいのでは、という声が上がったほどである。MVPは全米野球記者協会の記者による投票で決まる。指名打者が素晴らしい打撃成績を残してもMVPに選ばれないと言われながらも、しかし指名打者に専念した大谷選手が3回目のMVPを獲得したことは注目すべきことである。
指名打者に専念してのMVP受賞は、「50―50」という歴史的な偉業達成のストーリー性に加えて、バッターのみでも大谷選手が超一流であることを改めて証明したことになる。MVPを4回以上受賞したのは歴代最多ホームランを記録したバリー・ボンズの7回のみ、次に多いのは大谷選手らの3回で、ここにはジョー・ディマジオやミッキー・マントルといった野球殿堂クラスの11人の選手が顔をそろえている。
「大谷選手は、活躍のたびにベーブ・ルースなど過去の大リーグの歴史を蘇らせ、そして自身で新たな歴史を作っている。今の時代の代表的な選手としてその名が残るのは間違いなく、30歳にして将来の野球殿堂入りをほぼ確実にしたのではないか」と思う。大谷選手はどこまで進化するのか、そのゴールはまだ見えそうにない。
以上