◇「HCJ 2021」ホスピタリティとフードサービスの商談専門展視察_2021.02.19

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◇「HCJ 2021」ホスピタリティとフードサービスの商談専門展視察_2021.02.19

会場:東京ビッグサイト西展示棟1~4ホール、南展示棟1~2ホール
主催:一般社団法人日本能率協会 他
開催規模:約 1,000 社、2,600 ブース(2020年前年実績)
開催期間:2月16日~2月19日の4日間

  • 国際ホテル・レストラン・ショー(HOTERES JAPAN)
    テーマ:持続可能なホスタビリティ産業の更なる振興を図る
  • フード・ケータリングショー(CATEREX JAPAN)
    テーマ:お役立ちの提案~安全・安心・健康・おいしさを求めて
  • 厨房設備機器展(JAPAN FOOD SERVICE EQUIPMENT SHOW)
    テーマ:新しい日常を支える ニッポン厨房最前線

3展示会の英文名称の頭文字を取って『HCJ(エイチシージェイ)』と総称している。

写真1.:東京ビッグサイト展示棟前
写真1.:東京ビッグサイト展示棟前

◇視察目的:
サービス産業向け次世代技術EXPO、外食産業向けの調理ロボットシステムおよび配膳ロボットなど人協働型自律ロボットの動向調査と食品工場やセントラルキッチン、病院・介護施設など3密回避、人手不足問題解決の手段としてSLAM技術を活用している配膳ロボットシステムや応用した搬送システムの検討を目的に視察。

◇全般的な展示内容:
外食・宿泊・レジャー業界、給食・宅配サービス業界、セントラルキッチンを含む総合厨房・フードサービス機器などに関連した展示がされていた。

◇注目したメーカーの製品・システムについて紹介する。
自律制御可能な搬送・配膳ロボットにおける、特にサービス分野、医療・福祉施設等の従業者と協働で食事トレイやリネンなどの移載、移送作業などの搬送作業に適したロボットシステムとして自己位置の特定技術SLAM(simultaneous localization and mapping)を実装した人協働型ロボットで注目したものを紹介する。

1. 外食向け調理ロボット関係

1-1コネクテッドロボティクス株式会社 https://connected-robotics.com
出展製品:アーム式駅そば調理ロボット
ターゲット:駅中、社食、給食センター、病院などの大型施設の食堂
製品の特徴:
「調理をロボットで革新する」のコンセプトのもと、外食産業向けの調理ロボットシステムを開発している。会場ではそばロボットや食洗機ロボットを中心に、最先端テクノロジーを駆使した未来型飲食店を紹介していた。特にその中でも注目したのは、駅中の立ち食いそば店を想定した、そばを茹でる、洗う、締めるといった調理工程をロボット化し、連続作業を可能とした省人化システム(写真2.)の展示がされていた。スタッフを最小人数として接客に集中さることを目的とするものであった。 YouTube参考動画URL:https://youtu.be/TQoTOC4jfEE

写真2.アーム式駅そば調理ロボット(左:茹麺システム、右:食洗システム)
写真2.アーム式駅そば調理ロボット(左:茹麺システム、右:食洗システム)

1-2モリロボ https://morirobo.com/
ロボットビジネス支援機構(RobiZy)ブース内展示
出展製品:クレープロボットQ
ターゲット:外食、小売、カフェ、ホテル、レストラン、ブュッフェ

製品の特徴:
既存クレープ焼き器と同等のサイズにクレープ生地の焼き上げ、取出しまでを自動で行い、クレープ提供で最も難しい生地焼きをロボット(写真3.)が行う。
クレープを作るスタートを手前の透明のアクリルボードに手をかざすと作動を開始するシステムなので人と人との接触機会を減らし、コロナ対策をしつつサービス提供が可能である。

写真3. クレープ生地の焼き上げロボット
写真3. クレープ生地の焼き上げロボット

2. 自律協働型ロボット(主に配膳・搬送ロボット)

2-1ワイエスティー https://keenonrobot.jp/
2-1-1出展製品:M2:自動消毒ロボット
ターゲット:病院、介護施設
製品の特徴:
・指定した場所を紫外線と消毒液の噴霧による殺菌、コロナ菌も1分間で不活化
・無接触、無人の環境での殺菌作業が可能

写真4.自律走行型ロボット(左:消毒ロボット、中央:案内ロボット、右:配膳ロボット)
写真4.自律走行型ロボット(左:消毒ロボット、中央:案内ロボット、右:配膳ロボット)

2-1-2出展製品:G2:自動案内ロボット
ターゲット:ホテル業、観光業
製品の特徴:
・自動案内ロボット、画面をタッチするだけで目的地まで案内してくれるロボット(写真⒋中央)
・目的地に到着後、音声による解説や動画の再生が可能
・自動充電、自動案内

2-1-3出展製品:W3:ホテルルームサービスロボット、オフィス内自動配送ロボット
ターゲット:ホテル業界、外食業界
製品の特徴:
 ホテルでの自動ルームサービス:部屋まで自動で届けて、到着後電話でお知らせをし、暗証番号で扉が開き、荷物を受け取ることができる(写真4.右)
・オフィス内での書類を届ける際にもご利用可能
・自動配送ロボット、位置停止誤差±10㎜、エレベーター乗降可能(工事が必要)
・自動充電可能、24時間休まず働くロボット

2-2株式会社 TBグループ https://www.tb-group.co.jp/
出展製品:AIM ROBOT
ターゲット:人件費削減や感染症対策を目的とし、飲食店や病院、介護施設、ホテルなど

製品の特徴:
搭載するAI機能による障害物回避が柔軟な走行を可能にしている(写真5.)
・多言語機能も搭載し、利用場所に合わせてカスタマイズが可能。
・自ら定位置へ戻るスマートポジショニング機能搭載。
・スマートフォンからの呼び出しも可能。
・電池残量を把握し、自ら充電スポットへ戻り充電も行う。
・稼働回数や時間、その他さまざまな情報がサーバーから閲覧可能。
・ロボットの働き具合を可視化できる。
などの機能を有している自律走行ロボットが展示紹介されていた。さらにロボットビジネス支援機構(RobiZy)ブース内展示も別のロボットを紹介していた。

写真5. 自律走行ロボット(配膳ロボット)
写真5. 自律走行ロボット
(配膳ロボット)

3. 自律協調型ロボット(ロボットビジネス支援機構(RobiZy)展示ブース 他)

3-1 株式会社アーク https://www.arrk.co.jp/
3-1-1出展製品:自律走行型配膳ロボットSTACKY
ターゲット:飲食店全般(レストラン、回転寿司、焼き肉店、中華、カフェ)、カラオケ店、温浴施設、ホテル、旅館など
製品の特徴:
「おもてなし」を感じる配膳ロボットでリズミカルに重ねた棚が楽しさをプラスし、料理や商品をライトアップすることで特別感を演出し「おもてなしの心」を表現することをコンセプトにしているロボット(写真⒍奥)でデザイン性を特に強調していた。

3-1-2出展製品:手荷物輸送ロボット RAXii(ラクシー)
ターゲット:ショッピングモールや空港、ホテルなどの大規模商業施設、オフィス

製品の特徴:
コンセプトは、「新しさと親しみやすさをもった、手荷物運送ロボット」である。近い将来、大型商業施設ではロボットが代わりに荷物を運んでくれるようになる時代になるかもしれないと感じさけるロボットである(写真6.手前)。商業施設につくとスマホなどを用いてRAXiiを呼ぶ。自分の所に来るとタッチで認証、買い物についてくる。荷物を積むみ終わると目的地まで運んでくれる。目的地で待ち合わせ、荷物を受け取り完了し、ロボットは商業施設のホームに戻ると、いった使い方が普通になるかもしれない。

図6. 自動走行ロボット(奥:配膳ロボット、手前:運搬ロボット)
図6. 自動走行ロボット
(奥:配膳ロボット、手前:運搬ロボット)

3-2 アスラテック https://www.asratec.co.jp/
出展製品:自律走行型の屋内配送ロボット「RICE」
ターゲット:飲食・店舗・介護施設・教育施設・病院など

製品の特徴:
 フレンドリーなデリバリーロボットをテーマに商品化された「RICE(ライス)」(図7.)は、香港のRice Robotics社が開発した自律走行型の屋内配送ロボット。ホテルやオフィスビル、ショッピングモール、病院、高層住宅、飲食店、量販店など、屋内のさまざまな施設で活用することができる。物品の配送だけでなく、お客様の先導・案内といった用途にも利用可能。
 人と協調して働くことを前提に設計されており、人との衝突を回避したり障害物を避けたりする機能などを備えている。エレベーターと連携することで、異なるフロアに荷物を届けることも可能。人と接するロボットであることから、親しみやすくて使いやすいデザインが採用されている。 

図7. デリバリーロボット
図7. デリバリーロボット

3-3 エイム・テクノロジーズ株式会社 http://aim-tech.jp/
出展製品:AIサービスロボット(配膳ロボット)
ターゲット:飲食・店舗・介護施設・教育施設・病院など
製品の特徴:
 配膳ロボットとして、3機種展示紹介していた。ラインナップは「#SAKURA」「#NAOMI」「#AKARI」である。代表として「#SAKURA」(写真8.)の場合、配送・回収(配膳、下げ膳)、柔軟な障害物回避、扉付きクローズ型で積載重量は大きく、料理や飲み物、荷物を配送、回収タスクを自律的に行う。さらに3個のLiDARを用いて周辺環境の正確な検出、自律的な障害物を回避し、SLAM方式で経路を計画する。そして、配送時の誤配を防ぎ、衛生面を確保するための各種扉方式(片開き、ロール、観音開き)を用意している。

写真8.自律走行ロボット(配送・回収ロボット)左:正面、右:背面
写真8.自律走行ロボット(配送・回収ロボット)左:正面、右:背面

3-4 THK株式会社 https://www.thk.com/
3-4-1出展製品:検温ロボット
ターゲット:ホテル、ショッピングモール、イベントスペースなど
製品の特徴:
頭部のサーモグラフィカメラで体温を測定し、発熱者が発見された場合には遠隔操作でオペレータが医療用非接触体温計で応対するサービスロボット(写真9.左)
・体熱感知はAIによる顔認証機能を備えたサーモグフィカメラが対応
・発熱感知の際、医療認証体温計への自動切換え、遠隔地での有人対応が可能
・オートディスペンサー消毒を用いることで、人同士の接触による感染リスクを低減
AI自律走行型なので、スタッフが同行する必要がなく、人件費の削減に大きく貢献また、料理は密閉された庫内に保管して走行しますので、お客様の「安心」「安全」も確保。「非接触」型の飲食店作りには最適なロボット。

3-4-2出展製品: 自律搬送ロボット
ターゲット:喫茶店、飲食店舗、ホテル、、イベント会場など
製品の特徴:
自律型の走行台車と昇降リフターを組み合わせた自律搬送ロボットで、配膳・下膳に使用可能である(写真9.右)。JR高輪ゲートウェイ駅構内で実証試験中。
・狭所での全方向移動、360°旋回可能
・指定の場所まで「自律移動」で搬送
・感染症対策である「非接触でのおもてなし」にも対応

写真9.自律走行ロボット(左:検温ロボット、右:昇降リフター付き搬送ロボット)
写真9.自律走行ロボット(左:検温ロボット、右:昇降リフター付き搬送ロボット)

3-5 VECTOR株式会社 http://vecto3.com/
出展製品:VEC1 搬送ロボット台車
ターゲット:運送業界、不動産業界、病院・介護施設など

製品の特徴:
 農業で利用できる運搬ロボット、工場などで利用できる搬送ロボット・アームロボット、遠隔操作ができるアバターロボット、コミュニケーションロボット(写真10.)、調理ロボットなど各種に利用可能な台車である。

写真10. コミュニケーションロボット
写真10. コミュニケーションロボット

3-6株式会社Piezo Sonic info@piezo-sonic.com
出展製品:搬送用自律移動ロボット:Mighty
ターゲット:運送業界、不動産業界、病院・介護施設など

製品の特徴:
 月面探査ロボットの開発で培われた技術を応用しており、車道と歩道の間にある縁石など20cmの段差乗越え能力を持ち、高い走破性を有する製品。また、電動車椅子よりも小型サイズでありながら30kgの荷物の搬送が可能。高層マンションや病院、介護施設などでの非接触の荷物の搬送に最適なロボット(写真11.)
・近隣の複数の配送先に同時に配送する配送支援
・高層マンションなどの荷物の自動搬送サービス
・機材、薬剤、食事の非接触での自動配送

写真11. 自律移動ロボット
写真11. 自律移動ロボット

3-7 株式会社 F-Design https://f-ds.jp/
3-7-1出展製品:汎用ロボットベース(自走ロボット)
ターゲット:飲食・店舗・介護施設・教育施設・病院など
製品の特徴:
次の3つの特徴を持っている。
①段差走行に強い、②衝撃に強い、③汎用性がある。
屋内や半屋内での様々な段差に対応が可能で、走行環境では、点字ブロック、レンガ敷き、フロアマット、エントランスなどにも対応し、段差に強い走行性能を特徴とし、振動や衝撃を吸収できる構造をアピールしていた。

3-7-2出展製品:ドライ掃除ロボット Asion
ターゲット:飲食・店舗・介護施設・教育施設・病院など
製品の特徴:
 ドライ掃除ロボット(写真12.)。 次の5つの特徴を持っている。①業務用掃除機としての強力な吸引力、②傘の水しぶきや水滴を拭き上げができる、③自動扉のレールや点字ブロックなどの段差を乗り越えられる、④SLAMで地図を作成後に自動で清掃ルートの設定が可能、➄ドライブレコーダー搭載、⑥バッテリー駆動(連続駆動最大2時間)である。

写真12. ドライ掃除ロボット
写真12. ドライ掃除ロボット

3-8海容株式会社 https://pudutech-japan.com/
出展製品:ネコ型配送ロボットBellaBot(SV1-Model)
ターゲット:飲食・店舗・介護施設・教育施設・病院など
製品の特徴:
 ネコ型配送ロボット(写真13.)。非接触サービス、消毒、案内、警備などの機能により、レストラン・ホテル・病院・ショッピングモール、ビルメンテナンスなど様々な利用シーンに応じて使える各種のラインナップを揃えている。とくに外観がネコ型でモニター部分の表情がいろいろ変わって見ていて楽しくさせてくれる。

写真13. ネコ型配送ロボット
写真13. ネコ型配送ロボット

最後に
 配膳機能を持ったロボットが注目されていた。今後は、多様な言語による対話機能が付加され人とのコミュニケーションが取れるようになっていくと期待される。そのためにも現場でのデータ収集が欠かせない。各種センシング技術により取得したデータをAIやIoTで活用できるような仕組みが実装されるだろう。さらにSRAM技術により各種工場の部品搬送や重要書類などの社内搬送、物流倉庫などでの人との協働作業のサポートなどへの展開が考えられる。サービス分野も中国製ロボット技術の方が国内メーカーよりも先行していると感じる。実地導入によるトライ&エラーの各種データを活用して改良を繰り返しながらロボットを仕上げている。
 全ての分野とは言わないが、国内メーカーの次世代AMRや配膳・搬送ロボットといったサービス分野ロボットでも既に周回遅れの感がある。現場に対応した今後の開発力・技術力の向上を期待する。

以上