◇「FINE CHENICALS JAPAN 2021」視察_2021.04.14

◇「FINE CHENICALS JAPAN 2021」視察_2021.04.14

会場:東京ビッグサイト 西1・2ホール
主催:インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社
開催規模:出展規模:59社(同時開催は含めていない)
開催期間:4月14日(水)~4月16日(金)の3日間
同時開催:国際医薬品開発展 (CPhI Japan、P-MEC Japan、InnoPack Japan 他)

東京ビッグサイト展示棟前
東京ビッグサイト展示棟前

◇視察目的:
原料・中間体の粉体(ファイン系)に対応する製造設備・機器について最新技術情報を収集する目的で主に「FINE CHENICALS JAPAN」「P-MEC Japan」「InnoPack Japan」の視察を行った。

◇全般的な展示内容
FINE CHENICALS JAPAN: 国内外有力ファインケミカルメーカーと産業分野の化学製品メーカーが集結する展示会
CPhI Japan:医薬品の研究・開発のための原料・中間体が一堂に会する国際医薬品開発展
P-MEC Japan: 原薬、中間体の研究開発、製造のためのテクノロジー展
InnoPack Japan:DDSドラッグデリバリーデバイス医薬品プライマリーパッケージングの専門展

◇注目したメーカーの製品・システムについて紹介する。

FINE CHENICALS展示フロア:

1. 月島機械株式会社 https://www.tsk-g.co.jp/

写真1.BoCrossⓇフィルタ例
写真1.BoCrossⓇフィルタ例
(出所:展示会ブース紹介)

 主な出品は、BoCrossⓇフィルタ写真1.(新製品)、渦流式微粒子連続晶析装置(新製品)、粉体ハンドリングシステムなどである。
月島機械では粉体製造に関連した微粒子ハンドリングに対応する製造装置を取り扱っている。今回、特にろ過機では金属微粒子、セラミック、顔料などの、シングルミクロンやナノ微粒子スラリのろ過・洗浄、分級、濃縮の工程向け機器として新製品を紹介していた。BoCrossⓇフィルタはMF/UF膜で固形物粒径0.01ミクロン以上の分離・洗浄への適用をアピールしていた。高濃縮ろ過・洗浄操作、連続処理、バッチ処理いずれも適用可能である。

2. 株式会社ノリタケカンパニーリミテド https://www.noritake.co.jp/products/eeg/products/detail/3/

写真2.小型スタティックミキサー
写真2.小型スタティック
ミキサー

(出所:展示会ブース紹介)

 主な出品は、小型スタティックミキサー(Kシリーズ) 写真2.(新製品)、ファインンバブル発生器(新製品)、層流混合装置(新製品)フロー合成装置(新製品)などを展示。
本展示会ブース出展は初めてである。
①世界最小クラスのミキサー(Φ1)、②ファインバブル発生器、③層流混合装置の新製品を中心に出展していた。これらを用いた新たな技術によって、製薬・化学業界向けの材料開発や製造工程に対して混合・反応プロセスへの取り組みを提案展示として紹介していた。

3. 日清エンジニアリング株式会社 https://www.nisshineng.co.jp/

 主な出展は、パネル展示紹介として工場建設の企画・計画、要求に沿った設計、コスト採算性に優れた調達、スケジュールに沿った建設工事を事例紹介していた。

写真3.コンテナ・システム(IBC)のミニュチュアプラント展示
写真3.コンテナ・システム(IBC)のミニュチュアプラント展示
(展示会場にて撮影)

日清エンジニアリングでは、「粉体技術と工場建設のエンジニアリング力」として次の3つの視点から紹介していた。
1. 工場建設プロジェクトのポイントをトータルエンジニアリングの視点から提案。
2. 英国マトコン社のコンテナ・システム(IBC)(写真⒊)をミニュチュアプラントで展示。
3. 気流式微粉砕機や、サブミクロン領域の分級が可能な分級機。

P-MEC展示フロア:

4. 株式会社広島メタル&マシナリー http://www.hiroshimamm-chemtech.com/

写真4.ロータリーフィルタ
写真4.ロータリーフィルタ
(出所:H.P製品紹介)

 主な出展は、アペックスミルF&M(新製品)、ボーレコンテナーミキサー、ロータリーフィルタ(写真⒋)、セラミックロータリーフィルタなどであった。
ロータリーフィルタは、クロスフローろ過原理に基づき、フィルタ面に直角な圧力勾配と平行なスラリ流を形成することで、フィルタ表面ケーキ層を剥離させて薄く保ち、ろ過速度を高位に維持する。ロータリーフィルタは、円盤状に設置されたフィルタ(ろ布)表面近くを攪拌板が高速回転する機構でクロスフローろ過原理を実現する密閉ろ過機である。

5. 日本フリーザー株式会社 https://www.nihon-freezer.co.jp

写真5.超低温槽・超低温冷凍庫(ノンフロン)
写真5.超低温槽・超低温冷凍庫(ノンフロン)
(出所:展示会ブース紹介)

 主な出展は、超低温槽・超低温冷凍庫(ノンフロン)写真5.(新製品)、冷凍冷蔵庫(ノンフロン)などが紹介されていた。
1つのシステムで−80℃に冷却可能なシステムを、2システム同時に稼働(ダブル冷却システム)。仮に1システムに異常が生じても、庫内を超低温(-65℃以下)に維持可能な安全性の高い冷却システム。環境負荷の小さいノンフロン冷媒を採用。フロン排出抑制法の対象外製品となり、煩わしい簡易点検等の管理義務が発生しないなどのメリットをアピールしていた。コロナワクチンの低温保管に有効なシステム例として取り上げることにした。

InnoPack展示フロア:

6. 蒲田工業株式会社 https://www.kamata.co.jp/

写真⒍医薬品封じ込めクリーンルーム
写真⒍医薬品封じ込めクリーンルーム
(出所:H.P製品紹介)

 主な出展は、KAMATA CPF(細胞培養加工施設)、KAMATA 医薬品封じ込めクリーンルーム(写真⒍)、KAMATA GMP対応クリーンブース、KAMATA ステンレス製クリーンブースをパネル紹介していた。医薬・製薬業界向けの高品質医薬品製造施設における空調施設などGMP、PIC/Sおよびバリデーション対応の提案が主であった。特殊薬剤の封じ込めクリーンルームなどケミカルハザード対応技術など安全性を確保した製造・環境を構築するとしていた。

所見:
 本展示会視察は初めてであったが、保健機能性食品などに関連した粉体系の機能性素材開発と医薬品原料製造向け機器・装置についてのトレンド情報の収集を目的に視察した。
 ケミカルリサイクル、生分解性プラスチック、セルロースナノファイバー、マテリアルズインフォ―マティクス、原薬・中間体製造における連続製造技術などがトレンドのようである。
 コロナ禍、まん延防止等重点措置の適用範囲の拡大もあり各社ブースの簡素化が目立ち、カタログ展示やパネル提示・紹介が多く製造設備などの実機展示はほとんどなかったので残念でる。オンラインで参加できるサービスなど提供されるようになったことも影響しているのかもしれないが、全体的な印象として西1、2ホールでの開催で規模は小さいものであった。初日、そして雨ということもあり来場者も少ないように感じた。

以上