2021/10/08
◇「食品開発展2021」視察_2021.10.07
会場:東京ビッグサイト 西1・2ホール&アトリウム
主催:インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社
開催規模:860小間
開催期間:2021年10月6日(水)~8日(金)
食品開発展は、食品分野の研究・開発、品質保証、製造技術者向けの専門展示会
◇視察目的:
セーフティ&テクノロジー(S-tec Japan)を主に視察し、近年高まる食品の安全と高品質を確保するための分析・計測、安全・衛生、粉体・液体食品の製造技術、環境対策、包装技術を中心に製造技術と品質管理技術の最新動向・情報収集を行う。
◇全般的な展示内容
健康素材を集めたヘルスイングリディエンツジャパン(Hi Japan)、美味しさに関わる素材・技術を集めたフード・テイストジャパン(FiT Japan)、分析・計測、衛生資材、製造技術を集めたセーフティ&テクノロジー(S-tec Japan)、フードロス削減のためのフードロングライフジャパン(LLj)の4展で開催。
◇注目したメーカーの製品・システムについて紹介する。
【製造技術】
食品製造に用いる装置機器および技術情報をまとめる。
1. 株式会社アイ・アール・システム https://www.irsystem.com/
主な出展製品:ハイパースペクトルカメラ、小型 近赤外スペクトルメータ
近赤外線の分光分析は、異物検出、製品選別、品質管理など、様々な食品検査に適用できます。 初心者でも簡単に使える小型のスペクトロメータから、高度な検査が行えるハイパースペクトルカメラまで、最新の計測機器を紹介していた。ハイパースペクトルカメラの特にハイパースペクトルカメラでの異物検出では、分光分析を行うことで測定対象物に含まれている成分を推測できる。分光画像が得られるハイパースペクトルカメラでは、成分の違いが画像として見えることにより、肉眼やカラーカメラでは見つけにくい異物の検出や、品質の管理が行える。このような分光やハイパースペクトルカメラを用いた実例をアピールしていが、モニターでの紹介で実機展示はされていなかった。
2. カワサキ機工株式会社 http://www.kawasaki-kiko.co.jp/
主な出展製品:高圧蒸気殺菌機、乾燥機、乾燥プラント、水分計
短時間処理で安定した殺菌効果を発揮する、乾燥食材(スパイス・生薬・健康食品素材など)用の蒸気殺菌機。 非破壊非接触、オンラインでの水分計測を実現するマイクロ波透過型水分計を紹介していたが、実機展示はされていなかった。さまざまな素材に適応した乾燥機および乾燥ライン提案など煎茶分野を中心に蒸機や乾燥機といった荒茶加工設備を得意としている。
3. 増幸産業株式会社 http://www.masuko.com
主な出展製品:自己循環型スーパーマスコロイダー(新製品・新技術)、スーパーマスコロイダー、ミクロマイスターミニ
新開発の”セルフポンピング機能”を搭載した「自己循環型摩砕機」は、スイッチONするだけの簡単作業で目標粒子を得ることができる。繊細なクリアランスや回転数のコントロールも全て自動。所定の工程を終了すると自動停止し、アラームを発し運転終了を通知する。粒度分布にムラの少ない画期的な性能を実現している。実機展示されていた。
4. 株式会社シンキー https://www.thinkymixer.com/
主な出展製品:自転・公転ミキサーあわとり練太郎ARE-310(新製品・新技術)
世界で初めてシンキーが実用機として発売した「自転・公転方式ミキサー」のテクノロジーを活用した「刃のないミキサー」で、 独自の回転機構が材料の入った容器内で材料同士を3次元の対流で、低粘度材料からより高粘度な材料まで、短時間で強力に混ぜ合わせ、同時に脱泡も可能である。刃を使用せず、容器を入れ替えるだけで少量多種の条件に素早く対応が可能で、衛生的で清掃の手間も省けるミキサーとなっている。実機が展示されていた。
【品質管理技術】
工場サニテーションにおける品質維持に必要な装置機器・器具類、作業改善に関連した最新情報をまとめる。
1. キッコーマンバイオケミファ株式会社 https://biochemifa.kikkoman.co.jp/
主な出展製品:微生物検査用フィルム培地「Easy Plate」(新製品・新技術)、ATPふき取り検査(A3法)「ルミテスター Smart」「ルシパックA3」、ヒスタミン定量検査キット「チェックカラーヒスタミン」、ヒスタミン簡易検査キット「ヒスタミンチェックスワブ」
現場で誰でも簡単に、約10秒で結果が分かるATPふき取り検査(A3法)は、衛生管理が必要な多くの現場で活用されている。 最新機種「ルミテスター Smart」&「ルシパック A3」ほか、ヒスタミン検査キット、微生物検査用フィルム培地「Easy Plate」を展示していた。食品施設における洗浄不足は食中毒リスクを高めるだけでなく、アレルゲン混入など製品の品質自体にも影響を及ぼすことから、洗浄をデータに基づき管理できれば、それらのリスクに備えることが可能となる。ATPふき取り検査(A3法)を用いた数値での洗浄評価について、基準値の設定方法や運用例などを紹介していた。さらに微生物検査の信頼性を確保したまま迅速化、効率化、省人化を図る提案として、それらを実現するために簡易フィルム培地を導入する例が増えていることから、簡易フィルム培地のコロニーの検出原理や視認性、利便性について、寒天培地や他のフィルム培地との比較を交えて紹介していた。
2. ニッタ株式会社 https://nitta-monitoring.com/
主な出展製品:迅速微生物検査キット(MicroSnap)シリーズ、ATP検査キット、拭き取り検査シリーズ
HYGIENA社製のルミノメーター(EnSURE)は、試薬を変えればATPだけでなく、短時間で大腸菌・大腸菌群の検査と一般生菌の検査が可能である。調理器具等の検査以外に製品検査も可能なため迅速な衛生検査を手軽に行える。HACCP運用の仕組みづくりではHYGIENA製品を様々な場面でご活用について紹介していた。
3. 日本ハム株式会社 https://www.nipponham.co.jp/
主な出展製品:食物アレルゲン簡易迅速検査キット「FASTKITスリム」、食物アレルゲンスクリーニング検査キット「FASTKITエライザVer.Ⅲ」、食中毒菌簡易迅速検査キット「NHイムノクロマト」
多くの食品製造工場で取り組まれている食物アレルゲンコントロールに役立つ検査キットを紹介していた。アレルゲンの原材料や製品中の混入確認、洗浄・製造後の残留確認等の検査が可能である。簡易迅速キットFASTKITスリム、消費者庁ガイドライン準拠のFASTKITエライザVer.Ⅲをラインナップしている。
4. 株式会社森永生科学研究所 https://www.miobs.com/
主な出展製品:ナノトラップ®Easy、ナノトラップ®ProⅡ、モリナガFASPEKエライザⅡ、グルテンフリー製品検査用エライザ、アレルゲン検査の技能評価用試料
食物アレルゲン検査キットを通じ、食の安全と人々の健康をサポートしていることをアピールしている。設備洗浄後のすすぎ水や拭き取り液中の残存アレルゲンを簡単に検査できる「ナノトラップ®Easy」、最終製品をはじめ食品中のアレルゲンを精度よく検査できる「ナノトラップ®ProⅡ」を紹介していた。
5. 株式会社エヌエスピー www.nsp-jpn.com
主な出展製品:COVID19 環境ウイルスPCR検査キット(新製品・新技術)、高感度ATPスワブ
COVID19 環境ウイルスPCR検査キット(オプション:検査済証発行)はじめ、高感度ATPスワブなど衛生状態の見える化を可能にする製品を紹介していた。化合物検出ELISAキット+自動化装置の他、衛生指標菌のカウントや食中毒菌検出キットなどを現場作業にマッチした提案などを提供するとアピールしていた。
6. 株式会社野村事務所 https://www.nomjim.co.jp/
主な出展製品:ProfilePrint
官能評価機器「ProfilePrint」は、特許技術のスキャニング機能とAI学習機能により、これまでヒトにしかできないと言われていた食品官能評価を実現するものである。味・香りのプロファル・数値化をはじめ、品質確認、原料の最適なブレンド比率も探索が可能である。ブースは、日本初上陸のデモ機を紹介していた。
7. メディカテック株式会社 https://www.medicatec.co.jp/
主な出展製品:食品微生物検査用前処理装置
液体のハンドリングを得意とした自動化機器の開発や製造を行っている。 食品微生物検査装置に注目2機種の展示デモがされていた。 検体サンプルの段階希釈や混釈培養法に基づき、検体サンプルや培地の自動分注、 サンプルIDの自動読取りやシャーレへのID自動貼付機能の搭載、省力化をアピールしていた。
8. Tianma Japan株式会社 https://www.tianma.co.jp/
主な出展製品:小型蛍光偏光免疫分析(FPIA)装置(新製品・新技術)、高感度測定用マイクロ流路デバイス(新製品・新技術)
小型蛍光偏光免疫分析(FPIA)装置と高感度測定用マイクロ流路デバイスを展示。小型蛍光偏光免疫分析(FPIA)装置は計測用液晶素子を用いた偏光画像解析により、微量サンプル中の検体濃度を複数同時に定量できる小型軽量の装置。検出対象として、抗生剤, アレルゲンタンパク, ウイルスの測定例があり、これらの機器を用いた各種対象物質の測定例を紹介していた。
9. 株式会社シバサキ https://biosensing.shibasaki-inc.jp/
主な出展製品:バクテリア迅速検出装置「rapisco」
バクテリア迅速検出装置「rapisco」は蛍光染色法を検出原理とした装置。蛍光試薬で染色された微生物に光を照射することで、微生物を光点として検出する。培養時間は必要なく、短時間(最短10分)で結果が得られる。染色試薬を使い分けることにより、生菌、死菌、総菌が検出可能。自主検査やスクリーニングでの活用例を紹介していた。
10. インターサイエンス・ジャパン株式会社 https://www.interscience.com/
主な出展製品:リアルタイム インキュベーターおよびコロニーカウンター ScanStation (新製品・新技術)、自動菌液塗抹装置 easySpiral、培養培地用分注ポンプ FlexiPump、グラビメトリック希釈装置 DiluFlow、ラボラトリー用ホモジナイザー BagMixer
インターサイエンスはサンプル前処理からコロニーカウントまで迅速で安全な品質検査を行うための高性能機器を提供している。培養、コロニーの検出、カウンティングを同時に行うリアルタイムのインキュベーターおよびコロニーカウンターScanStationを紹介していた。発現時から検出、カウントされ、その様子を動画によりフォローすることができ、21CFRPart11ガイドラインに準拠しており、データインテグリティに対応するものである。
11. 会社カミナシ https://kaminashi.jp/
主な出展製品:現場改善プラットフォーム「カミナシ」
「HACCP対応での紙管理に限界を感じている」「現場の効率化をはかりたい」「作業品質を向上させたい」…それらの課題はすべて現場改善プラットフォーム『カミナシ』が現場主導のデジタル化で解決するというアピールをしていた。特長としては、手順を見ながらのタブレット記録、抜け漏れや違反を自動でチェック、レポート作成や報告を完全自動化、9言語をカバーする多言語翻訳などブースではシステムのデモのほか、HACCPの取り組みで増大した業務負担を「カミナシ」の運用で軽減した「群馬ミート(株)」の事例など、約100社の導入事例を抜粋して紹介していた。
12. スマショク https://modelor.com/
主な出展製品:スマート食品規格書(新製品・新技術)、スマート食品表示
ブースでは「食品表示にかかる手間を、劇的に変える2つのクラウドシステム」を展示。1つ目は、食品の「食品表示」「栄養成分」「原価」「アレルゲン」などを、瞬時に・簡単に・安価に、計算するシステム。
2つ目は、原材料の「産地」「原材料」などを、簡単に・安価に・効率的に、管理するシステムで食品表示でのスマート化の取り組みを紹介していた。
【所見】
ヘルスイングリディエンツジャパン(Hi Japan)、フード・テイストジャパン(FiT Japan)、セーフティ&テクノロジー(S-tec Japan)、フードロングライフジャパン(LLj)のカテゴリーがある中、セーフティ&テクノロジー(S-tec Japan)を主に技術動向を視察した。緊急事態宣言が解除となって最初のリアル展示会視察である。人出はまだ少ないように感じた。
衛生管理を中心とした装置・器具類について情報収集した。特にHACCP施行後の食品製造業においては、製造設備のサニテーションが重要となることから現場作業にマッチした装置・器具類について今後も注視していきたい。
以上