「国際粉体工業展 東京2022」視察_2022.12.07

◇「国際粉体工業展 東京2022」視察_2022.12.07

会場:東京ビッグサイト東1~3ホール
主催:一般社団法人日本粉体工業技術協会
開催規模:253 社・団体 955 小間
開催期間:2022年12月07日 ~ 09日の3日間
登録入場者数:11,247名(3日間合計)
オンライン展公開期間:2022年11月21日 ~ 2023年01月27日

「国際粉体工業展 東京2022」視察_2022.12.07

写真. 東京ビッグサイト正面

◇ 視察目的:
 一般社団法人日本粉体工業技術協会主催の「国際粉体工業展 東京2022」が、2022年12月07日(水)から09日(金)までの3日間、東京ビッグサイトにおいて開催されることから粉体ハンドリング技術と要素技術を中心に情報収集のため視察。各企業における粉体技術の動向調査を行う。さらにリアル展示会後に注目したメーカーの「オンライン展」紹介動画も参考とする。

◇ 全般的な展示内容:
 粉粒体を取り扱う粉体ハンドリングでパイプレスプロセスとしてコンテナシステムを視察し、その他の粉粒体生産システムを構成する各種の注目要素技術を中心に展示機やカタログなども参考にレポートとする。また、リアル展示会後に注目メーカーの「オンライン展」にて公開されている動画URLも掲載する。

1. 【 粉体ハンドリング 】
1 – 1. 月島機械株式会社  https://www.tsk-g.co.jp/

写真1-1-1. 月島機械(株)展示ブース
写真1-1-1. 月島機械(株)展示ブース

・粉体ハンドリング「TSKコンテナ(コンテナtoコンテナ)」(計量・ハンドリング)
https://youtu.be/5wvh8ieUBv4

 実機の展示はなく、パネル展示とミニチュアモデルによる紹介がされていた。「TSKコンテナ(コンテナtoコンテナ)」は、高精度で多品種少量に対応した粉体計量を実現するシステム。コンテナからコンテナへシュートを介さず直接計量するコンテナシステムで、コンテナから粉体を排出するコーンバルブの開閉のための駆動装置を最上部に設置してコーンバルブを引き上げることを特徴としている。適用分野は食品用粉体、2次電池用粉体、高付加価値粉体、医薬用粉体などである。移動式コンテナによるパイプレスプロセスである。

写真1-1-2. 粉体ハンドリング「TSKコンテナ」
写真1-1-2. 粉体ハンドリング「TSKコンテナ」
写真1-1-2. 粉体ハンドリング「TSKコンテナ」

1 – 2. 赤武エンジニアリング株式会社 https://www.akatake.co.jp/

写真1-2-1. 赤武エンジニアリング(株)展示ブース
写真1-2-1. 赤武エンジニアリング(株)展示ブース

コンテナシステム(貯留)
(1) コンテナシステム(コーンバルブ式コンテナACC)https://youtu.be/gJSBhTgOijg
(2) コンテナシステム 設備事例https://youtu.be/aUspM-FFeVE

 実機の展示はなく、オンライン展での紹介がされていた。コンテナシステム「コーンバルブ式コンテナACC」は貯留工程において用いて原料から製品に至る貯蔵や供給を安全かつ衛生的に行う生産システム。ラック&スタッカークレンでのコンテナ保管設備でロット管理、品種の切り替えも自動化することができ品種増加の拡張性を持ったシステムとなっている。移動式コンテナによるパイプレスプロセスの要素技術である。

写真1-2-2. コンテナシステム「コーンバルブ式コンテナACC」
写真1-2-2. コンテナシステム「コーンバルブ式コンテナACC」

写真1-2-3. コンテナシステム(貯留)
写真1-2-3. コンテナシステム(貯留)

1 – 3. 日清エンジニアリング株式会社 https://www.nisshineng.co.jp/

写真1-3-1. 日清エンジニアリング(株)展示ブース
写真1-3-1. 日清エンジニアリング(株)展示ブース

・粉粒体用コンテナシステム(マトコン 粉体ハンドリング)
https://youtu.be/C0Ux41veM5U

 「マトコン・コンテナ(IBC)システム」は、粉粒体でのハンドリングシステムとしてミニュチュアのモデル工場による設備運用の説明や映像での紹介をしていた。多品種少量生産システムとして、食品、医薬品、金属/ガラス、化学/プラスチックなどへの導入実績を多く持っている。マトコンシステムのコーンバルブは、下からの突き上げ方式でコーンバルブからの振動を利用して粉体を排出することが特徴である。移動式コンテナによるパイプレスプロセスである。

写真1-3-2. コンテナシステム「マトコン 粉体ハンドリング」

写真1-3-2. コンテナシステム「マトコン 粉体ハンドリング」
写真1-3-2. コンテナシステム「マトコン 粉体ハンドリング」

1 – 4. OMC株式会社 http://omc.jpn.org/2012/

写真1-4-1. OMC(株)展示ブース
写真1-4-1. OMC(株)展示ブース

・コンテナシステム(コンテナ計量システム)

 最新型自動倉庫と機械設備を組み合わせ、原料・製品を容器(コンテナ)ごとに移動し、充填・計量・混合・排出まで行い、多品種小ロットの粉体ハンドリング生産設備である。品種ごとに専用コンテナを持ちコンタミレスによる品種替えが容易に行える。システムを構成する粉体ハンドリングにおけるコンテナ計量システムは、従来のバタフライバルブやコーンバルブ方式やバルブに替わるスクリューで高精度の計量を可能にしている。実機展示はなかったが、移動式コンテナによるパイプレスプロセスである。

写真1-4-2. コンテナシステム「コンテナ計量システム」
写真1-4-2. コンテナシステム「コンテナ計量システム」

1 – 5. クマエンジニアリング株式会社 http://www.kuma-eng.co.jp/

写真1-5-1. クマエンジニアリング(株)展示ブース
写真1-5-1. クマエンジニアリング(株)展示ブース

・計量配合システム(配合工程の自動・無人化)

 展示紹介はなかったが、粉体ハンドリングによるパイプレスプロセス応用技術として取り上げる。高品質粉体の生産ニーズに対応する配合工程での自動化、無人化システムである。原料の計量供給技術とメカトロ技術・電気制御技術による配合容器搬送ラインで構成された計量配合システムで小型容器、コンテナ、ドラム缶などに対応したパイプレスプロセスである。

写真1-5-2. 「計量配合システム」

写真1-5-2. 「計量配合システム」
写真1-5-2. 「計量配合システム」

1 – 6. 株式会社奈良機械製作所 https://www.nara-m.co.jp/

写真1-6-1. (株)奈良機械製作所展示ブース
写真1-6-1. (株)奈良機械製作所展示ブース

・ボトル容器接続バルブ(原料供給)
(1) CONTAINED ASEPTIC TRANSFER VALVES(無菌移送バルブ)
(2) POWDER TRANSFER CONTAINMENT VALVES(粉体移送封じ込めバルブ)

 ボトル容器接続バルブでボトルtoボトル、ボトルtoパイプライン、ボトルtoタンクなどを構成する無菌および粉体封じ込めによる原料移送システムの要素技術である。原料の移送を無菌状態で尚且つ外部への流出を完全に遮断する。ボトルに内蔵されたバルブと供給側バルブとの間隙にH2O2ガスや蒸気など供給しバルブ接続間およびバタ弁間のサニタリ密封構造を構築するバルブ接続装置である。

写真1-6-2. 「ボトル容器接続バルブ」

写真1-6-2. 「ボトル容器接続バルブ」
写真1-6-2. 「ボトル容器接続バルブ」

2. 【 粉粒体エンジニアリング 】
2 – 1. ツカサ工業株式会社 https://www.tsukasa-ind.co.jp/

写真2-1-1. ツカサ(株)展示ブース
写真2-1-1. ツカサ(株)展示ブース

・自動開袋システム(原料供給装置)

 開袋給粉工程に必要な袋の供給、開袋、異物除去、空袋処理の機能を一つのユニットに組み込んだデパレタイザーロボシステム。ユニット化することにより、外部からの雑菌や異物の混入を阻止するとともに、HACCP対応の粉体ハンドリングプラントを構成するシステムである。直行系ロボットを組み合わせ、省力化・省人化、自動化を図った開袋装置である。

写真2-1-2. 「自動開袋システム」
写真2-1-2. 「自動開袋システム」

2 – 2. アイシン産業株式会社 https://www.aishin-sangyo.co.jp/

写真2-2-1. アイシン産業(株)展示ブース
写真2-2-1. アイシン産業(株)展示ブース

・粉粒体の架橋防止装置「エアースイープ(AIRSWEEP)」(流動補助装置)
https://youtu.be/BcuhAvxhrUs

 エアースイープは貯槽供給時のラットホール、ブリッジ、付着などを防止する流動活性化システムとして紹介されていた。取り扱いの難しい粉粒体の貯槽排出の先入れ先出しに有効な技術である。供給流体は圧縮エアまたは不活性ガスを噴射する方式を用いているため貯槽に対してバイブレータやノッカーのような振動やストレスを与えない架橋防止装置で、粉粒体の流動を活性させる補助装置である。

写真2-2-2. 粉粒体の架橋防止装置「エアースイープ(AIRSWEEP)」

写真2-2-2. 粉粒体の架橋防止装置「エアースイープ(AIRSWEEP)」
写真2-2-2. 粉粒体の架橋防止装置「エアースイープ(AIRSWEEP)」

2 – 3. 株式会社ダルトン https://www.dalton.co.jp/

写真2-3-1. ダルトン(株)展示ブース
写真2-3-1. ダルトン(株)展示ブース

・食品向け連続混練機「SCK100」(混練装置)https://youtu.be/6BCL5CyJbZk

 バッチニーダーと同等以上の高い混練性を持った装置で、容量をコンパクト化させ、立ち上がり時間を短くするとともに機内残量は当社従来比88%減を実現と紹介していた。さまざまな押出造粒機と組み合わせてシームレスな連続造粒が可能である。接粉部を完全分解できるため、洗浄にかかる人的負荷と環境負荷も軽減できる連続混練機である。

写真2-3-2. 食品向け連続混練機「SCK100」
写真2-3-2. 食品向け連続混練機「SCK100」

2 – 4. 東洋ハイテック株式会社 https://www.toyohi.co.jp/

写真2-4-1. 東洋ハイテック(株)展示ブース
写真2-4-1. 東洋ハイテック(株)展示ブース

・混合機「amixonシリーズ」(混合装置)
(1) VMT:真空混合装置および真空反応装置https://youtu.be/0SnrNUF2RWs
(2) VM:垂直シングル回転軸混合装置https://youtu.be/_8HqgyvQpZ4

 ドイツamixon社のミキサが紹介されていた。ヨーロッパ食品業界において知名度、導入実績が多い精密混合のミキサである。「amixonシリーズ」のバリエーションとしては、タテ型一軸、二軸、コニカルと真空乾燥機、エア・ブレンダータイプを揃えていて、混合以外に加熱、冷却、焙煎、滅菌、反応などの用途にも使用できると紹介していた。

写真2-4-2. 混合機「amixonシリーズ」
写真2-4-2. 混合機「amixonシリーズ」

2 – 5. ホソカワミクロン株式会社 https://www.hosokawamicron.co.jp/

写真2-5-1. ホソカワミクロン(株)展示ブース
写真2-5-1. ホソカワミクロン(株)展示ブース

・粉体特性評価装置「パウダテスタ PT – X」(ラボ・測定分野)

 Carrの流動性指数、噴流性指数を測定する粉体測定装置である。粉粒体を取り扱う上で重要な安息角、凝集性など7種類の主要粉体特性値と固めかさ密度など3種類の値を1台で測定できる装置である。機器選定時の粉粒体評価に必須の測定装置である。

写真2-5-2. 粉体特性評価装置「パウダテスタ PT - X」
写真2-5-2. 粉体特性評価装置「パウダテスタ PT – X」

3. 【 粉粒体要素技術 】
3 – 1. 日工株式会社 https://www.nikko-net.co.jp/

写真3-1-1. 日工(株)展示ブース
写真3-1-1. 日工(株)展示ブース

・食品用サニタリーミキサ「くいっかー」(混合・混練・調合)

 粉粒体ならびに食品の低粘性から高粘性の原料を混合、混練、調合を行うミキサとしてデモ展示していた。特に特徴的な機構として撹拌羽根が独立して4軸に取り付けられていて回転方向、回転速度、各羽根が独立して回転させることができ、連動・間欠動作など原料の用途に合わせた動きができるミキサとして小ロットバッチ生産、ラボ向けとして紹介していた。現在は、貸出機によるテスト誘致を進めているが、自社工場内にテストプラントを新設し依頼実験なども誘致できる研究・開発体制を整える計画のようである。

写真3-1-2. 食品用サニタリーミキサ「くいっかー」
写真3-1-2. 食品用サニタリーミキサ「くいっかー」

3 – 2. ジェイピーネクスト株式会社 https://www.jpnext.co.jp/

写真3-2-1. ジェイピーネクスト(株)展示ブース
写真3-2-1. ジェイピーネクスト(株)展示ブース

・粉粒体空気輸送装置「piab piFLOWシリーズ」https://youtu.be/ul04Ngm9aK0

 食品、医薬、化学製造工程向けの粉体輸送・真空輸送を行う粉粒体空気輸送装置「piab piFLOWシリーズ」を紹介していた。主な用途としては、紙袋、フレコン等から各種加工機械への原料投入、分級・混合・造粒・成型・包装機等の工程間輸送、バッチ生産時におけるコンテナ、ドラム等への収缶など幅広い用途に利用が可能である。

写真3-2-2. 粉粒体空気輸送装置「piab piFLOWシリーズ」
写真3-2-2. 粉粒体空気輸送装置「piab piFLOWシリーズ」

3 – 3. ジャパンマシナリー株式会社 https://www.jmc.asia/

写真3-3-1. ジャパンマシナリー(株)展示ブース
写真3-3-1. ジャパンマシナリー(株)展示ブース

・偏心ディスクポンプ「MOUVEX(ムーベックス)」https://youtu.be/fzhKG-QpMQY

 偏心ディスクポンプのメリットについて、各種の回転機ポンプと比較して、高い自吸能力による製品の引抜き、エア押し、メンテナンスコストの削減を利点としてあげていた。ラインナップは、ローコストモデルのSLCシリーズ、サニタリ仕様のSLSシリーズ、小流量移送のMCシリーズの3つである。軸シール部分は金属ベローズを用いて外気遮断を行える構造となっていた。

写真3-3-2. 偏心ディスクポンプ「MOUVEX(ムーベックス)」
写真3-3-2. 偏心ディスクポンプ「MOUVEX(ムーベックス)」

3 – 4. メカニカルコンセプトジャパン株式会社/シルバーソンジャパン株式会社 https://www.me-concept.co.jp/

写真3-4-1.メカニカルコンセプトジャパン(株)/シルバーソンジャパン(株)MECO展示ブース
写真3-4-1.メカニカルコンセプトジャパン(株)/シルバーソンジャパン(株)MECO展示ブース

・MECOカスタムシャフトシール(ドライシャフト軸封装置)
https://youtu.be/1LmLcXjyE8U

 完全分割型のドライメカニカルシール(軸封装置)。一般的なメカシールとは異なり、軸ブレ許容が非常に大きいため、グランドパッキンに頼るしかなかった軸振れ等の起こりやすい低速回転の粉体機器などに最適となっていた。完全分割型でカスタム製作であるため、既存設備の改造も容易で、メンテナンスの際も時間とコストを最小限に抑えことができると説明を受けた。プロセス物の漏れ対策はもちろん、真空漏れによる製造効率低下や、VOC対策などにも高い効果を発揮し、真空乾燥機・各種ブレンダ・ニーダ・コンベヤなどあらゆる回転機器に対応。

写真3-4-2. 「MECOカスタムシャフトシール」
写真3-4-2. 「MECOカスタムシャフトシール」

・シルバーソン 粉体/液体混合ミキサ フラッシュミックス(粉体/液体混合)
https://youtu.be/Q_WwELC61TA

 液体に粉体を吸引混合する装置である。ホッパーに投入された粉体はインラインミキサの吸引側で液中に吸引混合され、粉ダマのない均一な混合液となりミキサから排出される。増粘剤やゲル化剤の分散に応用されている。エアの混入が少なく、構造がシンプルなためメンテナンス性、洗浄性に優れている。CIP洗浄が可能で、EHEDGに準拠する設計が施されている。用途は、食品・飲料分野では粉ミルク、スターチ、ペクチン、増粘剤等の分散、医薬・化粧品分野ではCMC、活性剤、ゲル化剤、ポリマー等の分散、化学分野ではベントナイト、キサンタンガム等の溶解など。

写真3-4-3. 粉体/液体混合ミキサ「フラッシュミックス」
写真3-4-3. 粉体/液体混合ミキサ「フラッシュミックス」

4. 【 所見 】
 国際粉体工業展のリアル展示会視察は、2年ぶりであったが昨年の大阪での展示会情報、動向については、オンライン展で収集できた。しかし、実機を見ながらのリアル展示会では技術動向、情報収集だけでなく、各企業の展示ブースで直接担当者と意見交換できることから、少し踏み込んだ長期的な今後の取り組みや課題などを聴くことができた。 また、機械装置の単体操作を組み合わせた連続操作の自動化・省人化指向が見られる点が注目される。ただ技術的には確立されているためここ数年については、大きな進展がみられていない。

以上

【HP参考レポート】

  1. 展示会レポート「国際粉体工業展 大阪 2021」オンライン展 視聴_2021.11.12
    https://www.kimoto-proeng.com/exhibition/2039
  2. 展示会レポート「国際粉体工業展 東京2020」視察_2020.11.20
    https://www.kimoto-proeng.com/exhibition/1140