2023/07/03
◇「FOOMA JAPAN 2023」視察_2023.06.06 – 07
会場:東京ビッグサイト東展示棟1~8ホール3
主催:一般社団法人 日本食品機械工業会
開催規模:出展社数:969社
総来場者数:106,104人(海外からの来場者3,178人)
開催期間:6月6日(火)~ 9日(金)の4日間
開催テーマ:「Accelerate FOOMA」“Accelerate”は「加速する」を意味する
東京ビッグサイト展示棟前
◇ 視察目的:
食品機械・装置および関連機器に関する最新技術ならびに業界情報など食品機械の最先端テクノロジー、製品、サービスの動向調査を目的に視察する。特に人材不足に伴う盛り付けラインの自動化、ロボットハンドリングや構成要素であるエンドエフェクタ(ロボットハンド)などをキーテーマとして視察する。
◇ 全般的な展示内容:
「FOOMA JAPAN」は今年で46回の開催を数える「食の技術」の総合展示会である。食品機械・装置および関連機器を中心に、原料から製造、物流に至るまでの食品製造プロセスに関わるあらゆる分野の企業が集結し、最先端の技術を紹介する展示会である。
◇ 注目したメーカーの製品・システムについて紹介する。
本展視察目的である3つのキーテーマをFocus 1として「盛り付けラインの自動化」、Focus 2として「ロボットハンドリングおよびロボットエンドエフェクタ(ロボットハンド)」、Focus 3として「その他、注目技術、機械」に分けてレポートにする。
Focus 1:「盛り付けラインの自動化」
1. 株式会社山善 https://tfs.yamazen.co.jp/
注目製品:「惣菜盛り付ライン」ソリューション
山善は食品業界(特に惣菜)の自動化をテーマにした、様々なソリューションを出展していた。「惣菜盛り付ライン」の他に周辺機器として「異物検査」、「噛み込み検査」、「協働ロボット箱詰め」のソリューションが出展されていた。
注目した「惣菜盛り付ライン」は、「トレイ供給機」、「多目的充填機(MAA/MAA – P)」、「盛り付けロボット」、最後に「外観検査装置」の流れのソリューションで、特にラインの中で注目したのが、スタートアップゾーンでも出展しているFingerVision(協賛)の盛り付けロボットである。デモでは唐揚げとエビフライの惣菜をピック&プレイスし、お弁当容器に移載していた。そのロボットハンドは、ハンド(視触覚センサ)とカメラが一体化していて人の手のひらの感覚と同じように柔らかいものや異形物を掴むことが可能で食品を傷つけないで、よい加減の把持が特長であった。
写真1 – 1 . 「惣菜盛り付ライン」デモ実演
2. 株式会社アールティ https://rt-net.jp/
注目製品:人型協働ロボット「Foodly」とビジョンシステム「NEKONOTE Vision(ネコノテビジョン)」、人協働ロボット「COBOTTA PRO」と「冷凍フライ投入システム」
人型協働ロボット「Foodly」を使ったデモンストレーションを実演展示していた。
2 – 1. 人型協働ロボット「Foodly」とビジョンシステム「NEKONOTE Vision(ネコノテビジョン)」
食品製造工程の中でも盛り付け工程は、多品種少量生産や不定形かつ多様な食材の認識、複雑な作業が必要なことから自動化が難しい領域とされてきた。ただ、人手不足の課題解決に向けて、早急な効率化のニーズが高まっていることから、単調な繰返し作業はロボットに置き換えることで省人化に加え、異物混入のリスクを低減し、衛生管理の向上などにつなげられる。双腕型の協働ロボットで「Foodly」はすでに愛知県のイチビキ(株)、熊本県の(株)ヒライなどに導入し活用されている。
本体サイズは高さ1530×幅400×奥行450mmと小柄な成人ほどの大きさで、頭部と胸部にカメラが搭載されている。ディープラーニングを活用したAI(人工知能)ビジョンシステムにより、頭部のカメラで番重などにばら積みされた食材を一つ一つ認識してピッキングし、胸部のカメラで弁当箱やトレイなどの容器を認識し盛り付けることができる。
デモ実演では、1台がばら積みされた食材をつかみ、コンベヤに流れてくるトレイに盛り付けて行く。わざと食材を入れ損ねたトレイも次工程に流すと、コンベヤ中央に設けられたビジョンカメラが空のトレイを認識し、もう1台のFoodlyが運ばれてきた空のトレイだけに食材を盛り付ける実演を披露していた。1台なら1時間当たり700~800食の盛り付けスピードも2台が連携することで約1.5倍の1時間当たり1200食まで向上すると説明を受けた。
色の表現法の一種で、赤 (Red)、緑 (Green)、青 (Blue)の三つの原色を混ぜて幅広い色を再現するRGBと距離画像から食品のような不定形物3D認識を行う推論モデル作成モジュールと、オブジェクト検出モジュールを搭載した「NEKONOTE Vision(ネコノテビジョン)」を組込みデモで紹介していた。
写真1 – 2 – 1. 人型協働ロボット「Foodly」を使ったデモ実演
2 – 2. 人協働ロボット「COBOTTA PRO」と「冷凍フライ投入システム」
人協働ロボット「COBOTTA PRO」と「冷凍フライ投入システム」はデンソーウェーブ協賛の「COBOTTA PRO」と組み合わせたフライ投入システムとしてデモ展示実演していた。
写真1 – 2 – 2. 「冷凍フライ投入システム」デモ実演
3. 株式会社デンソーウェーブ https://www.denso-wave.com/ja/
注目製品:人協働ロボット「COBOTTA PRO」
3 -1. 人協働ロボット「COBOTTA PRO」と人との協働計量
人協働ロボット「COBOTTA PRO」を活用した人との協働計量作業をデモンストレーション。実際の現場で人が行っていた食材の計量の片方をロボットに置き換えたもので、作業内容は組合わせた3Dカメラ計量器(アールティ協賛)を使い、計量器が指示した柔軟食材をロボットがソフトハンドを使ってピッキングして、規定量の重さに揃える工程で、不定形食材の計量に該当する。デモでは、「めんたいこ」を模したダミーが使われていた。またロボットアーム部分には、人と接触する可能性のあるハンド周辺をまるごと「タッチセンシングソフトカバー」で覆うことで、高速動作しながらも、もし接触したら必ず停止するようにして安全性に配慮されていた。
写真1 – 3 – 1. 人協働ロボット「COBOTTA PRO」と人との協働計量作業をデモ実演
3 – 2. 人協働ロボット「COBOTTA PRO」のサラダの盛り付け
スタートアップ出展社のTechMagic(協賛)の惣菜盛り付け用ハンドを装着したサラダの計量盛り付けのデモ実演していた。オプション品ではあるが、ロボットにつけているジャケットも食品用で高温調理や丸洗いにも対応でき、先端部分から末端部部まで止水ファスナにより簡単に着脱が行える。
写真1 – 3 – 2. 人協働ロボット「COBOTTA PRO」のサラダの盛り付けデモ実演
4. コネクテッドロボティクス株式会社 https://connected-robotics.com/
注目製品:惣菜盛り付けロボット「Delibot」、蓋閉ロボット(Futappy)、AI検査ソフトウェア(AI Inspection)
4 – 1. 惣菜盛り付けロボット「Delibot」
惣菜の盛り付けについては、同じくスタートアップ企業であるコネクテッドロボティクスでは、不定形食材の定量盛り付けを自動化する惣菜盛付けロボット「Delibot」をデモして、注目を集めていた。「Delibot」は現在9台が実際の現場で稼働中である。2セット4台で1時間あたり1000食の盛付けが可能である。「第2回 FOOMAアワード2023」にて優秀賞を受賞した。
惣菜業界として初めて食品工場に導入された、定量盛り付けの工程を自動化するロボットである。今回は省スペース化を実現したロボットでひじき煮を盛り付けるデモ実演を行っていた。ひじき煮を計量してピッキングする際のリトライ回数が無駄な動きとなっていると感じる点が見られたが、今後の計量精度とハンドリング技術の向上を期待したい。
写真1 – 4 – 1 – a. 惣菜盛り付けロボット「Delibot」
写真1 – 4 – 1 – b. 惣菜盛り付けロボット「Delibot」のデモ実演
4 – 2. 蓋閉ロボット(Futappy)
惣菜やお弁当など多種多様な容器の蓋閉め工程を自動化するロボットとして蓋閉ロボット「Futappy」を紹介していた。デモ実演では麺類を想定した長方形の容器の蓋閉め工程を実演していた。
現場の状況に応じて、大中小の様々なサイズ、容器形状にも対応できるという説明をしていた。多品種少量生産だから専用機が入れられない場合や省スペース設置の要望などに対応できる。特に多様な嵌合形式に対応が可能なことや、3秒に1個のスピードで閉められるということ、段取り替えも簡単であることを強みにしていた。
写真1 – 4 – 2. 蓋閉ロボット(Futappy)のデモ実演
4 – 3. AI検査ソフトウェア(AI Inspection)
不定形の原材料・加工品、曲線の多い容器にも対応可能な「AI検査ソフトウェア」。容器の縁への惣菜の乗り上げ検査をデモ実演していた。
食に特化したAI機能・データセットによって、季節や品種によって状況が異なる食品製造工程での検査に対応が可能なソフトウェアとして披露していた。一般にラインで流れる容器の種類や位置、角度によって判別できないものもあるが、生産品目が増えた際にも独自のアルゴリズムを組み合わせて活用できる検査ソフトウェアとして、コンベヤ上に流れる惣菜をリアルタイムにOK / NG判断できる様子を実演しアピールしていた。
写真1 – 4 – 3. AI検査ソフトウェア(AI Inspection)
5. ファナック株式会社 https://www.fanuc.co.jp/
注目製品:高速搬送システム「ゲンコツロボットDR – 3iB / 8L」
昨年と同様に食品用のゲンコツロボット「DR – 3iB / 8L」による高速搬送システムのデモ展示がされていた。コンベヤから供給される生肉をカメラで見つけて、ソフトハンドが把持し、トレイに高速に整列する搬送システムとして提案していた。
ゲンコツロボットは、生鮮食品も扱える洗浄可能なロボット(IP67k)対応である。食品工場の場合、サニテーションの関係で機械装置そのものを直接洗浄するなど使用環境が非常に厳しいことから、食肉加工工程でのゲンコツロボットの導入が期待できる。
写真1 – 5. 高速搬送システム「ゲンコツロボットDR – 3iB / 8L」のデモ実演
6. 不二精機株式会社 https://www.fuji-seiki.co.jp/
注目製品:「手巻きおにぎりライン無人化システム」、「食材搬送ユニットSHU」、「デリカハンドDH」
写真1 – 6. 「不二精機ブースの製造装置・機器システム」
6 – 1. 「手巻きおにぎりライン無人化システム」
不二精機はおにぎりマシンでは国内8割強のトップシェア企業であ。注目した「手巻きおにぎりライン」の無人化ラインは作業性150%改善、3ラインを2名で生産するライン提案がされていた。おにぎり製造工程は「飯シート供給」⇒「具入れ」⇒「成形」⇒「塩振り」⇒「包装」⇒「検品」⇒「段バラシ」⇒「整列」⇒「箱詰め」⇒「段積み」⇒「番重自動搬送」の無人化システムである。
写真1 – 6 – 1. 「手巻きおにぎりライン無人化システム」機器構成例(カタログ抜粋)
6 – 2. 「食材搬送ユニットSHU」
次に注目した「食材搬送ユニットSHU」は参考出展であったが、食材の自動搬送・盛り付けによる省人化を図るユニット。
写真1 – 6 – 2. 「食材搬送ユニットSHU」(カタログ)
6 – 3. 「デリカハンドDH」
さらにサンドおにぎり仕様・パック詰め仕様に対応した「デリカハンドDH」など自動化ラインへの組み込む周辺機器も充実している。
写真1 – 6 – 3. 「デリカハンドDH」(カタログ)
Focus 2:「ロボットエンドエフェクタ(ロボットハンド)」
1. SMC株式会社 https://www.smcworld.com
注目製品:「ベルヌーイグリッパ(コアンダグリップ付)」
「ベルヌーイグリッパ(コアンダグリップ付)」は、軽いワーク/隣接するワークの吹き飛ばしを低減し、ワーク吸着時の横滑りを防止してエアを吹きながら吸着するためワークに付着した粉状のものを機器・配管に吸込む心配がない。
写真2 – 7 – 1. 「ベルヌーイグリッパ(コアンダグリップ付)」
写真2 – 7 – 2. 「ベルヌーイグリッパ(コアンダグリップ付)」カタログ
2. TechMagic株式会社 https://techmagic.co.jp/
注目製品:惣菜盛り付け用「食品用グリッパ」
TechMagicはデンソーウェーブのブースでもデモを行い、アイスクリームをすくい取るディッシャのようなハンド「食品用グリッパ」で、合わせて3Dカメラを活用することで、サラダのような惣菜を高精度で連続計量盛り付けできるという説明を受けた。狭い場所でも使える協働ロボットとの組み合わせで自動化を図るとのこと。自社ブースにおいては先端がフォーク形状のハンドできんぴらゴボウをすくい挟み取るデモ実演を行っていた。
TechMagicはキユーピーと資本業務提携したと6月に発表し、2030年に「未来型食品工場を共創する」ことを目指すというプレス発表がされている。
写真2 – 8 – 1. 惣菜盛付け用「食品用グリッパ」
写真2 – 8 – 2. 惣菜盛付け用「食品用グリッパ」&デンソーウェーブ(協賛)デモ実演
3. 株式会社Finger Vision https://www.fingervision.jp/
注目製品:「視触覚センサ」
透明素材(シリコン材)と小型カメラで指先の変形を検知する独自技術「視触覚」を持つ「視触覚センサ」を紹介していた。FingerVisionは、スタートアップゾーンのほか、山善のブースで、一連のラインの中で唐揚げとエビフライをピックアップしてお弁当容器に入れるデモを実演していた。お弁当は日替わりやリニューアルも頻繁に行われ、さまざまな食材に対応できないと設備稼働率が低下してしまう。同社の技術は指先の滑りを検知できるので、多種多様な食材に対応し、傷付けずにピック&プレイスができるのが特長であると説明を受けた。食材の形状も多種多様であることを考慮するとハンド形状については、3指タイプやすくい上げるL形状のハンドなどへ水平展開することでミニトマトのような球形状や魚の切身などのハンドリングでも活用が期待できそうである。
写真2 – 9 – 1. 「視触覚センサ」のデモ実演
写真2 – 9 – 2. 「視触覚センサ」カタログ&山善(協賛)デモ実演
4. THK株式会社 https://www.thk.com
注目製品:ピッキングハンドシステム「PRS – A」、ならいハンドシリーズ「TNH」
4-1. ピッキングハンドシステム「PRS – A」
多品種アイテムを一型式でピッキング可能なピッキングロボットハンドでアイテムを吸着しないで掴むことができる。デモ実演では卵を使ったピック&プレイスの移載を披露していた。ピッキングハンド「PRS – A」は4指12軸で構成されているハンドで箱形状、円筒形状、袋形状、厚紙+フィルムなどのアイテムなど各種形状に対応できる。
さらに近日発売のピッキングハンド「PRS – A -HYB」は4指12軸に加えて2吸着のハンドで吸着パッドを備えたタイプがリリースされる。
写真2 – 10 – 1. ピッキングハンドシステム「PRS – A」のデモ実演
4 – 2. ならいハンドシリーズ「TNH」
ならいハンドシリーズ「TNH」は、ワーク形状にならって吸着または把持し安定した搬送ができる汎用ロボットハンドで、さまざまなワークの凹凸に合せて12本のシャフトをならわせてロックする“ならい機構”を採用したロボットハンドである。ラインナップは次の3種類を展開している。
① 12個の吸着パッドと内蔵した絞り弁でワークを吸着する「ならい吸着ハンド」
② ワークの把持力と把持速度を容易に制御可能な「ならいグリップハンド」
③ 用途に合わせてカスタマイズ可能な「ならいユニット」
「TNH」の強みは、ワークごとにハンドを都度交換する必要がなく、ならいハンド1つで複雑な形状のワークでも安定して吸着または把持ができ、ピックアップ時の姿勢を維持したまま搬送し着座させることが可能なことである。また、ハンド本体は小型・軽量で、協働ロボットや産業用ロボットへの搭載に最適なサイズ・質量を両立している。取付フランジは、ISO規格(ISO9409 – 1 – 50 – 4 – M6)のロボットに取り付けが可能である。
写真2 – 10 – 2. ならいハンドシリーズ「TNH」のデモ実演
5. 株式会社ニッタ http://www.nitta.co.jp
注目製品:ロボットハンド「SOFTmatics」
ロボットハンド「SOFTmatics」の13種類のグリッパが展示されていた。不定形、バラバラ、つぶれやすいワークを優しくつまむ、包むように持つに対応した各種のハンドがラインナップされている。次の6つをキーポイントにしている。
① 柔軟:今まで掴めなかったワークも掴めるように!
② 多品種:ワークで選べる13種のグリッパ
③ 安心:衛生的なグリッパで食品直掴みもOK
④ 簡単:ツールレスの着脱機構でメンテナンスが簡単
⑤ 軽量:アルミ材で総重量1.0 kg 以下(アダプタプレートは含まない)
⑥ 経済的:消耗品はリペア対応
多品種の惣菜製造ラインでの活用など作業者による着脱が自動で行えるようになると各種の自動化が難しかった製造ラインへの導入用途の拡大も期待できる。
写真2 – 11. ロボットハンド「SOFTmatics」のラインナップ
6. 株式会社ブリヂストン https://www.bridgestone.co.jp/products/softrobotics/
注目製品:ゴム人工筋肉「ラバーアクチュエーター」
繊細で器用な手の動きは、人ならではの万能さだと、これまでのロボットハンドでは諦められていたが、柔らかなモノをそっと包む手、複数のモノを持ち、多種多様なモノを掴む手を可能にしたエンドエフェクタ「ラバーアクチュエーター」として紹介されていた。「強さ」と「柔らかさ」を兼ね備えたゴム人工筋肉の指を持つ“第3の手”としてデモ実演していた。
写真2 – 12. ゴム人工筋肉「ラバーアクチュエーター」のデモ実演
7. アルトリスト株式会社 http://www.altruist.co.jp
注目製品:「バラ物トッピング装置」
盛り付けラインを想定した自動化システム用に開発された「バラ物トッピング装置」でスカラーロボットのエンドエフェクタとしてベルヌーイを利用した枡形特殊ハンドが装着されていた。バラ物や粒物(コーンや豆類など)を枡の容量計量を活用して、おおよその量を所定の場所にトッピングする装置で供給能力は、30トレイ/分程度(2ハンド)である。
人手による小分け作業やいろどり等のトッピングの自動化に用いることを想定している。ブースでは、生ねぎ(刻みねぎ)のピッキングを披露していた。
写真2 – 13. 「バラ物トッピング装置+枡形特殊ハンド」のデモ実演
8. コンバム株式会社 http://www.convum.co.jp
注目製品:ハイジェニックシリーズ「吸着パッド(食品用/抗菌吸着パッド)」
食品衛生法/FDA対応のハイジェニック製品「食品用吸着パッド/抗菌吸着パッド」裸品食品や医療製品など様々なワークに対応が可能と紹介していた。更にこの吸着パッドは、自社工場内のクリーンルームで製造されており品質にも“こだわり”があるとアピールしていた。「食品対応バッド」は、食品衛生法、FDA適合材料を使用で異物混入対策として色は青色を採用、耐熱性に優れるシリコンゴムと耐久性の高いNBRがラインナップされている。「抗菌パッド」は、シリコンゴムに高気化性の高い銀イオンの抗菌剤を添加されていて、JIS Z 2801(抗菌加工製品・抗菌性試験方法・抗菌効果)にて評価済みである。
写真2 – 14 – 1. ハイジェニックシリーズ「吸着パッド(食品用/抗菌吸着パッド)」のブース展示
写真2 – 14 – 2. ハイジェニックシリーズ「吸着パッド(食品用/抗菌吸着パッド)」のカタログ
Focus 3:「その他、注目技術、機械」
1. 株式会社ユーシン精機 https://www.ype.co.jp
注目製品:省スペースパレタイジングロボット「PAシリーズ」
“省スペース&フリーアクセスでレイアウトが自由自在”をコンセプトにリリースされたパレタイジングロボット「PAシリーズ」として披露、デモ展示されてた。
射出成形品取出ロボット技術を応用、改良を積み重ねてきたパレタイジングロボットである。広いスペースが必要な多関節ロボットや、アクセスが1方向のみのガントリー型ロボットに比べて、PAシリーズでは省スペースでかつフリーアクセス、自由なレイアウトが可能である点をアピールしていた。可搬重量20kgに対応の「PA-20」、同40kg対応の「PA-40」、同50kg対応の「PA-50」の3機種をラインナップしている。
さらに低天井タイプもラインナップされていて、全高3000㎜以下で2000㎜の高さまで、積み付け天井の低い場所にも設置可能で、シリーズ最高の高可搬で、25kg以上の製品が搬送可能である。ショートカット動作と最適加減速制御機能により、500個/時間(8.3個/分)の搬送を実現できることを紹介していた。
写真3 – 15 – 1. 省スペースパレタイジングロボット「PAシリーズ」のデモ実演
写真3 – 15 – 2. 省スペースパレタイジングロボット「PAシリーズ」のカタログ抜粋
2. オークラ輸送機株式会社 https://www.okurayusoki.co.jp
注目製品:「コンベヤ搬送ライン(ステンレス仕様 / アルミ仕様)」
オークラ輸送機は様々な搬送機器を組込んだフレキシブルな食品搬送ラインをラインナップしている。
「ステンレスコンベヤ搬送ライン」は、ステンレスコンベヤで構成した、カップ入りサラダ(ダミー)の検査・振り分けラインをデモ展示し、画像認識によるNG品リジェクトシステムやシュー式の分岐コンベヤと合流コンベアを組み合わせたライン構成となっていた。
「アルミコンベヤ搬送ライン」は、多彩な反転装置を組み込んだ、アルミコンベヤのピロー包装品搬送ラインがデモ展示され、搬送物の天地を180度ひっくり返す様々な反転装置が組み合わされ搬送物の前後の向きを変えるターンコンベヤなどが見どころとなっていた。
写真3 – 16 – 1. 各種反転装置と分岐コンベヤ
写真3 – 16 – 2. 「コンベヤ搬送ライン(ステンレス仕様 / アルミ仕様)」(カタログ)抜粋
3. 株式会社安川電機 https://www.e-mechatronics.com/
注目製品:「原料取出しシステム」
原料工程の自動化ソリューションとして人協働ロボットによる「原料取出しシステム」のデモ実演がされていた。システムの構成は、可搬質量20kgと10kgの人協働ロボットを活用した原料取出しセルと設定した生産レシピに合わせて原料を取出すデモ実演で、システムにはサニタリー性を向上した食品仕様ロボット「HC10DTFP」も組み込んだ展示がされていた。
写真3 – 17 – 1. 「原料取出しシステム」のデモ実演
3 – 1. 株式会社FAMS https://www.fams.jp/
注目製品:植物工場システム「アグリネ」
FAMSは、安川電機が新たな事業の柱と位置づける「農」と「食」分野へのソリューションを提供する企業として2018年8月に設立された。
農業の現場においても高齢化で担い手が不足していることから食品工場同様に自動化や省人化のニーズが高い。ブースでの展示は、「農の工業化による安定した食料生産」をミッションとした取り組みの一つとして植物工場システム「アグリネ」を披露していた。
植物工場システム「アグリネ」は、食材の自動栽培による安定供給を指向したシステムで、独自開発のコマ&レール方式を適用したシステムで食の安全と安定供給を実現と野菜の栽培環境、栽培実績のデータを活用し、野菜の品質を安定化を図るものとして披露していた。
写真3 – 17 – 1 – a. 植物工場システム「アグリネ」のブース展示
写真3 – 17 – 1 – b. 植物工場システム「アグリネ」のカタログ抜粋
4. 株式会社Closer https://close-r.com/
注目製品:包装箱詰めロボット「PickPacke」
筑波大発AIロボティクスベンチャーCloserは「ロボットを当たり前な選択肢へ」をビジョンとし、自動化の進みにくい食品産業、三品産業を対象とした労働力を補完するロボットシステムの研究開発・提供を行っているスタートアップ企業である。
展示ブースでは、包装箱詰めロボット「PickPacke」をデモ実演していた。多様な商品・タスク(掴む、高精度に置くなど)に対応が可能で世界最小級のボディサイズ、さらに簡単操作で商品切り替えが可能と説明を受けた。
写真3 – 18. 包装箱詰めロボット「PickPacke」のデモ実演
5. 三菱電機システムサービス株式会社 https://www.melsc.co.jp/
注目製品:「自動搬送・品質検査システム」
ロボットとセンシング技術を活用した「自動搬送・品質検査システム」で食品業糧の人手不足を解決するとした提案していた。次の3つのソリューションをデモ実演していた。
① 自動化・省人化:人手不足・省スペース、安全・衛生・品質の確保⇒ロボット+センシング
② 品質検査:検査記録の保存、トレーサビリティ⇒製造品質管理システム
③ 製造業の工程間搬送⇒AGV+フリート制御
とIoT化・自動化のキーアイテムをラインナップしていた。
写真3 – 19 – 1. 「自動搬送・品質検査システム」のデモ実演
写真3 – 19 – 2. 「自動搬送・品質検査システム」のカタログ
6. 大阪大学 基礎工学研究科 流体力学グループ 後藤研究室 https://fm.me.es.osaka-u.ac.jp/
注目製品:「撹拌翼パーツなし撹拌機」
アカデミックプラザの中で注目した技術として内部に撹拌パーツを一切必要としない粉体撹拌機と流体撹拌機として「撹拌翼パーツなし撹拌機」を紹介していた。食品工業における混合手法の提案となっていて、滑らかな容器の単純な運動を活用して複雑なカルマン渦のような混合に有効な乱流流れを利用した撹拌技術の基礎研究である。技術的な利点として次の4つを紹介していた。
① 容器内部に撹拌のための回転翼やバッフルなどを必要としない
② 容器の運動だけで複雑流れを駆動し、迅速な混合を実現
③ 壊れやすく繊細な試料を優しく混ぜることが可能
④ 数値シミュレーションによる検討が容易で、事前に操作条件の最適化が可能
としていた。
粉体や液体の調合や混合など試作作業のテーブル試験機としての活用が見込めるので、今後の研究開発に期待する。
写真3 – 20 – 1. 「撹拌翼パーツなし撹拌機」の説明パネル&デモ実演
写真3 – 20 – 2. 「撹拌翼パーツなし撹拌機」の配布資料
最後に
食品製造現場の人手不足、労働生産性の向上の問題解決の方法として、人と一緒に働ける協働ロボットを中心にさまざまなロボット活用が提案されていた。ロボットがお惣菜を扱ったり、冷凍ハンバーグを移載したりしている様子が普通になり始めている。さまざまな技術的ハードルは扱うものが食品であることから課題も山積しているのが実情である。
実際の食品製造現場でのロボット活用事例が増えてはいるが、順調に進んでいるとは言い難い状況である。トライ&エラーを繰り返しながら活用の範囲を広げ、食品製造現場にマッチしたロボットや周辺機器(ロボットハンドや3Dビジョンなど)を開発して導入しながら技術的な向上を図っていく段階にある。食品製造ラインの人手不足対策、労働生産性の向上に向けた技術革新に期待する。
以上
【参考引用先・過去展示会レポート】
- 各社HP
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展示会レポート「FOOMA JAPAN 2022」2022/06/20 木本技術士事務所 HP
https://www.kimoto-proeng.com/exhibition/2659 -
展示会レポート「FOOMA JAPAN 2021」2021/06/04 木本技術士事務所HP
https://www.kimoto-proeng.com/exhibition/1608