「JAPAN PACK 2023(日本包装産業展)」視察_2023.10.03

◇「JAPAN PACK 2023(日本包装産業展)」視察_2023.10.03

会場: 東京ビッグサイト 東展示棟2~6ホール
主催: 一般社団法人日本包装機械工業会
開催テーマ: 「未来の包程式 ―当たり前のその先へ―」
開催規模: 420社・団体 合計1873小間(09月26日 プレス発表)
開催期間: 2023年10月03日(火)~06日(金) 4日間
来場者数:4日間 合計 36,338名(10月7日 速報値)

東京ビッグサイト展示棟正面前

東京ビッグサイト展示棟正面前

◇ 視察目的:
 主要包装機メーカーの最新技術動向、生産ラインの自動化・効率化、人手不足や省力化・省人化などのキーテーマへの取り組みについて包装機を中心に視察した。

◇ 全般的な展示内容:
 自動化・環境に焦点があてられた展示会で、生産ラインの自動化・効率化、持続可能な社会実現に向けた包装および関連産業の最新装置・機器や技術が展示されていて、特に① 商品力向上の価値創出、➁ 販売力促進の価値創出、③ 持続可能社会×包装価値の創出などの課題に対する取り組みなどが各出展ブースで紹介がされていた。

【注目した技術、装置・機器】

1. ストラパック株式会社 http://www.strapack.co.jp/

注目装置:高速ランダム型封函機(テープシーラー)「AS-6S」

 本封函機の特徴は、段ボールの高さが20mmからでもテープ貼りが可能な点にある。EC市場・ネット通販市場に対応したさまざまな梱包形態での出荷が求められている。
特に近年、一般家庭の郵便受けに投函できる高さの段ボールの需要もあることから高さの低い段ボールのテープ貼りにも対応できる設計がとれている。包装形態に起因する要求仕様としては、段ボールシートのケースサイズ(幅・高さ)を自動で識別し、カートン上部のフラップを折り込み、テープ貼りを行うというランダム対応である。背の高い製品は、上部フラップの開き防止があり異物混入を軽減できる。低い製品のテープ貼りではテープ折り返しで底面になぞる装置が付き、安定した貼付けを可能にした設計となっている。処理能力は、最大で毎分18ケース(従来機処理能力:毎分7ケース)である。

写真1. 封函機(テープシーラー)「AS-6S」

写真1. 封函機(テープシーラー)「AS-6S」

2. 大森機械工業株式会社 https://www.omori.co.jp/

注目装置:高速・高密封の個包装を可能にする高速横ピロー包装機「NSW-7000BX」シリーズによるサスティナブル包装ライン

 本包装ラインは、高速・高密封の個包装を可能にする高速横ピロー包装機「NSW-7000BX」とロボットによるピックアッドプレース、マルチパック包装を行う高速逆ピロー包装機「NSW-7600BX」を組み合わせたサスティナブル包装ラインである。
本包装機の特徴は、紙材の精巧な製袋を可能にしたことやホットメルトアプリケータを内蔵したことでシーラント材が塗布されていない紙材100%にも対応可能となっていることである。オペレータの操作性を考慮したリボルバー式フィルムスプライサを搭載することで、フィルムセットが定位置でできるように設計されている。また、超音波シール装置を搭載することでフィルムカットピッチを短縮(従来より1mm短縮)、フィルムコスト低減にも貢献するサスティナブルな包装ラインである。

写真2. 横ピロー包装機の包装ライン

写真2. 横ピロー包装機の包装ライン

3. 株式会社東京自働機械製作所 https://www.tam-tokyo.co.jp/

注目装置:ジッパー対応縦型ピロー包装機「TWFX_Z」シリーズ

 本包装機は、ジッパー仕様縦型ピロー包装機の再封性と資材コスト低減を両立させた新機種である。本包装機の特徴は、最大包装能力が毎分80袋(従来機は毎分65袋)を実現し、従来機より包装能力が23%向上している。また設置スペースを約29%削減している。構造においては、フィルムの経路を短縮し、品種切替え時のフィルムロスを削減し、フィルムセットも容易となっている。さらに、サーボモータ2軸駆動強調制御により、高速シールが可能になりシール強度が従来機種に比べ2倍に向上したことで、確実なシール性と高精度の噛み込み検査を可能としている。また、製品切り替えが簡略化、操作性、作業性、メンテナンス性も向上させている。

写真3. 縦型ピロー包装機「TWFX_Z」

写真3. 縦型ピロー包装機「TWFX_Z」

4. 株式会社フジキカイ https://www.fujikikai-inc.co.jp/

注目装置:包装工程をワンストップとした「Fuji Smart Module」システム

 共通のフレームを活用した包装システムでフレーム内に横ピロー包装機や検査装置、ロボットなどを組み込んだ包装ラインシステムで、個包装からパレタイジングでの包装工程を1ラインで構成してワンストップで高速処理が可能である。省スペース対応で高い生産性があり、フレーム上部に制御機器を配置することで、メンテナンス性の向上が図られている。

写真4. 「Fuji Smart Module」システム

写真4. 「Fuji Smart Module」システム

5. 株式会社古川製作所 https://www.furukawa-mfg.co.jp/

注目装置:協働ロボットと自動袋詰めシール機「FFシリーズ」が連動したシステム

 本包装機システムは、袋を2,800枚収納できるスタッカーをラインに配置して協働ロボットが袋の束をストッカ―から取り出し、自動袋詰めシール機に搭載された袋供給先へロボットが自動で袋をセットする。従来は、人の手で行っていた袋の搬送作業であったが、この作業をロボットが担うことで省人化を図るシステムを提案していた。
展示ブースでは、袋の搬送供給能力を毎分50袋で実演し、協働ロボットに連動する自動袋詰めシール機は、「FF-220NⅢ」と「FF-10-230NⅢ」の2機種で構成されている。自動袋詰めシール機は、「FF-220NⅢ」のスペックは、8セクションの袋詰め部があり、最大毎分50袋の処理能力がある。

写真5. 協働ロボットおよび自動袋詰めシール機「FFシリーズ」

写真5. 協働ロボットおよび自動袋詰めシール機「FFシリーズ」

6. 日本ポリスター株式会社 https://nippon-polystar.co.jp/

注目装置:長物野菜と葉物野菜に対応した高性能包装機「PAW-6000B」

 長さや形にバラツキのある野菜の長さを自動測長し、それぞれにあった袋の長さで包装する野菜専用包装機が展示デモしていた。製品の長さに合わせて袋長さを自動調整するため、長さの異なる製品でも設定の切り替えが不要で、製品を供給するだけなので、作業効率が向上する。さらに使用するフィルムも削減できフィルムロスも低減しコストダウンに貢献するとアピールしていた。ネギやごぼうなどの長尺野菜、さらにほうれん草やレタスといった葉物も1台で対応できる兼用包装機である。サイドベルト付きコンベヤを包装機本体に装着しベルトに長さや形状の異なる野菜を混載して包装ができることを特長としている。処理能力は最大毎分60個である。

写真6. 野菜包装機「PAW-6000B」

写真6. 野菜包装機「PAW-6000B」

7. 株式会社トパック https://www.topack.co.jp/

株式会社トパック

注目装置:ロータリ製袋充填包装機「RF-66JA+U-2」(写真なし)

 本包装機はロータリーシリーズの新モデルで、縦シール温度制御を搭載していて、赤外線センサで全シールバーの温度を計測して温度制御を行うことを可能にしている。高速充填機RF-66JAから一定数を集積するとコンベヤに流す装置U-2などを組み込んだ新機構を紹介していた。

8. PACRAFT株式会社 https://pacraft-global.com/

PACRAFT株式会社

注目装置:ハイパースペクトルカメラを用いたインラインシール検査装置「Hyper Scope」(写真なし)

 本検査装置は、ハイパースペクトルカメラ技術により、シール部の噛み込み検査で近赤外線(950nm)から短波長赤外線(1700nm)までの波長領域の局所波長域ごとに画像化することで、目視不可能であった印字下面に隠れていた異物や水、油が噛み込んでいる状態を視認可能にした検査装置である。プラスチックトレーや深絞りトレー、さらに紙トレーでの検査も可能で非破壊で検査ができることから、出荷時のパッケージング品質の向上も図れ、目視で検出できない不良を検出できることから省人化と検査工程の自動化が図れるとともに包装形態が起因とする食品ロス低減も期待できる。

9. 大成ラミック株式会社 https://www.lamick.co.jp/

大成ラミック株式会社

注目装置:液体・粘体高速充填機「DANGAN」シリーズの新モデル「DANGAN G3」(写真なし)

 本充填機は、「DANGAN G2」の後継機種で、新たな新機能として液体充填の属人化や技術伝承といった従来からの課題を解決し、包装品質の均一化、安定化を実現する新システム「DANGANスマートシステム(DSS)」を搭載し、オペレータによるフィルムの耳ずれ調整を不要にした自動制御や横シール部に生じるタックしわを抑えるなどの機能を備え、さらに充填液の流量が一定になる流量調整制御が可能になっていた。また、刃合わせ調整作業を容易にするユニットが標準装備され幅広い生産アイテムに対応可能な構造であった。

【環境負荷低減ソリューション】

「持続可能社会への対応」「生産現場の自動化・効率化」「安心・安全の実現」、そして「市場の拡大」といった4つの項目に対する「包装の新しい価値」をキーテーマとした展示公開していた。
1. 包装ライフサイクルコーナー
Equation Zero = 0 未来の包程式= 0 当たり前のその先へ

ライフサイクル起点の包装設計、プラスチックの適正使用(活プラ)、新素材・代替素材の開発、食品ロス削減や食のロングライフ化など持続可能社会への対応に向けた製品、技術、サービスの新提案がされていた。さらにDXによるサプライチェーン、人手不足、省人化・省力化システム、製造や物流・輸送コスト削減、生産性向上など多種多様なテーマに対する提案がされていた。

写真7. 包装ライフサイクルコーナー

写真7. 包装ライフサイクルコーナー

2. CLOMAパビリオン
『きれいな海と、豊かなくらしを、みんなとともに』これからの未来を一緒に考えましょう!

 容器包装に関する最新のイノベーションが各企業から提案されていた。プラスチック資源循環の未来デザイン「CLOMA CITY」の構想や具現化に向けた取り組みなどか紹介されていた。アクションプランは「2050年までにプラスチック製品100%リサイクルを目指す」ことをアピールしていた。

写真8. CROMA PAVILION

写真8. CROMA PAVILION

最後に
 本展示会では、昨年に引き続き包装機械や包装資材、包装工程の自動化などの最先端技術の動向調査を目的に視察を行った。特に包装業界に限ったことではないが、“人手不足”といった喫緊の課題に対する自動化、省力化・省人化の解決策の提案が多く見受けられた。製造工程においては、加工から計量、充填、包装、印刷、印字、検査、梱包など製造ライン全体に係わる最新の技術トレンドを確認することができた。
 今後のキーテーマは「自動化・効率化・安全安心」と「持続可能な環境対応資材」への取り組みが求められていると感じる展示会であった。

以上

【参考引用先・過去展示会レポート】

  1. 各社HP
  2. 1. 各社HP
  3. 2. 展示会レポート「JAPAN PACK 2022(日本包装産業展)」視察_2022.02.16
    https://www.kimoto-proeng.com/exhibition/2279