技術用語解説14『保健機能食品(Health functional food)』

技術用語解説14『保健機能食品(Health functional food)』

 食品が持つ健康や栄養に関する効果や機能を科学的根拠に基づいて表示できるのは、特定保健用食品と栄養機能食品だけである(食品衛生法)。特定保健用食品と栄養機能食品を併せて「保健機能食品」という(健康増進法)。医薬品と混同される恐れがある表示は薬機法(旧:薬事法)により禁止されている。また効能や効果について根拠がない表示は不当景品類及び不当表示防止法により禁止されている。
 特定保健用食品は、特定の保健の用途に資することを目的とし、健康の維持、増進に役立つまたは適する旨を表示することについて、厚生労働大臣により許可または承認された食品であり、食品ごとに個別に許可されるものである。
 栄養機能食品は、高齢化、食生活の乱れ等により、その人にとって不足しがちな栄養成分の補給、補完に資することを目的とした食品である。その食品から1日当たりに摂取することとなる栄養成分の量について一定の基準を満たす場合、その栄養成分の機能に関し、一定の表示を行うことが可能となるものをいう(規格基準型)。これらの食品と医薬品および一般食品との関係を表1.に示す。

表1.保健機能食品の概念

医薬品(薬機法) 食品(食品衛生法)
医薬品 医薬部外品 保健機能食品 一般食品
特定保健用食品
(個別許可型)
栄養機能食品
(規格基準型)
いわゆる
健康食品

 保健機能食品は、許可等を受けた特定の保健の目的に関する表示や、栄養成分の機能に関する表示以外にも、表2.に示す事項を表示しなければならないとされている。

表2.保健機能食品の表示

特定保健用食品 栄養機能食品
保健機能食品(特定保健用食品)である旨 保健機能食品(栄養機能用食品)である旨
栄養成分量及び熱量 栄養成分量及び熱量
1日当たりの摂取目安量 1日当たりの摂取目安量
摂取方法 摂取方法
摂取する上での注意事項 摂取する上での注意事項
1日当たりの栄養所要量に対する充足率
(関与成分が栄養所要量の定められた成分である場合)
1日当たりの栄養所要量に対する充足率
厚生労働省による個別審査を受けたものではない旨

また、保健機能食品ではない一般の食品については、保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能や特定の保健の用途に適する旨の表示をすることが禁止されている。
 特定保健用食品は平成3年(1991)にその制度を発足した。特定保健用食品は使用対象者が特定されておらず、ある保健効果を目的として摂取する食品であり、年齢・性別を問わない。ただし、通常の食品形体をしていることが規定されている。したがって、ある成分(単品または複数)だけをカプセルや錠剤などの形状にしたものは含まれない。これらについては平成13年4月から栄養機能食品として、厚生省が定めた基準に合致していれば、届出を行うだけで販売することができるようになった。表示される保健効果には、腸内環境改善(腸内菌叢改善)、虫歯低減、血圧上昇抑制、血中脂質改善、血中コレステロール低下、血糖上昇抑制、カルシウム補給、鉄補給などの効果をうたうものが多い。
 また、栄養機能食品と称して販売するには、栄養機能食品の規格基準(「1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量」の上限値・下限値)に適合するとともに、該当栄養成分について栄養機能の表示を行う場合には、「栄養機能表示」に併せて、当該栄養機能表示それぞれに対する「注意喚起表示」を表示しなければならない。

以上