2021/04/05
技術用語解説16 『ドレッシング (Dressings)』
1.ドレッシングの概念
ドレッシングの定義として日本農林規格JASは食用植物油脂を含むことが規定されている。すなわち食用植物油脂を含まない調味料はドレッシングとは言えないことになっている。その詳細な内容はJASを参照するとよいが、これに準拠して各品目の特長を要約し表⒈に示す。
JASを表示しなければこの規格に準拠しなくてもよいが、食品衛生法、不当景品不当表示防止法に準拠しなければならない。従って油分を含まないか日本農林規格に合格しない市販のドレッシングタイプ、マヨネーズタイプ等は消費者に内容物を誤認させることのないよう明確な表示が必要となる。
2. 製造
乳化タイプのドレッシング類は水中油型のエマルションで製造に際し技術的な問題は少ない。予備的な撹拌装置と仕上げ撹拌装置で乳化するのが一般的である。ドレッシングは食酢中の酢酸と食塩により腐敗しにくいが、製造工程と製品の細菌管理は必要である。また食用植物油脂の酸化を抑える包装容器、酸化防止剤の検討も重要なポイントである。
さらに耐寒性、耐熱性、耐震動性も要求されるが流通段階を含めた商品管理は品質の保持として留意することが大切である。
ベーカリー、冷凍食品向けには厳しい性能を要求されるから対応できる原料と製法の選択を要する。
3. 鶏卵の乳化安定作用
マヨネーズの場合、乳化を支配しているのは主として低密度リポタンパク質LDL、高密度リポタンパク質HDL、リポタンパク質水溶性画分WSFであると考えられている。卵黄に含まれるリン脂質は殆どこのLDL 、HDL、WSFを構成する一成分として存在し、タンパク質とゆるく結合し遊離状態では極めて微量にしか存在しない。
食用植物油脂の乳化はLDL、乳化してできたマヨネーズの安定性はHDLが強く影響していると考えられている。卵白の乳化力とエマルションの安定性は弱いが乳化安定作用はある。
以上