技術用語解説35『冷凍食品 (Frozen food)』

技術用語解説35『冷凍食品 (Frozen food)』

1. 「冷凍食品」の条件とは何か

「冷凍食品」とは、次の条件をすべて満たす食品のことである。

① 「前処理」してあること

 例えば魚の頭や内臓、骨、ヒレなどの不可食部分を取り除いたり、切り身にしたり、パン粉を付けたり、ブランチング(湯通し)するなど、食材を予め処理してある食品のことである。

② 急速凍結した食品であること

 食品の組織が破壊されないように急速凍結を行った食品のことをいう。したがって家庭用フリーザーでホームフリージングしたものや、冷凍ストッカなどで凍らせた「緩慢凍結」品は「冷凍食品」に該当しない。

③ 最終消費のために包装してあること

 末端消費者や業務用ユーザが使用するまで包装してあることである。したがってブロック凍結品やバラ詰めしたものは「冷凍食品」に該当しない。

④ マイナス18℃以下に保って流通保管していること

 生産者であるメーカの工場から途中の問屋、物流センタ、デポ、あるいは配送車両なども含め、最終的に消費する直前までマイナス18℃を保っていることが必要である。したがって生産者段階においてマイナス18℃で出荷しても、流通段階でチルド流通を行ったものは「冷凍食品」に該当しない。
 上述の4つの条件をすべて満たした食品が「冷凍食品」である。したがって冷凍畜肉や冷凍水産物がたまたま冷凍流通・冷凍保管されていても、これは「冷凍食品」ではないので注意する。
 最近の冷凍食品全体の統計的な傾向について見てみると、1kg当たりの金額は、平成4年から18年まで毎年低下を続けていたが、その後、430円から460円の間で推移している。
小分類の品目別生産量における上位20品目(表1.)では、次のような結果となった。

表1. 品目別ベスト20位(令和元年)
順位 品目 生産数量(トン) 構成比率(%)
1位 うどん 192,378 12.0
2位 コロッケ 165,692 10.4
3位 炒飯 83,309 5.4
4位 餃子 81,776 5.1
5位 ハンバーグ 70,065 4.5
6位 ラーメン類 65,087 4.1
7位 スパゲッティ 60,540 3.7
8位 カツ 59,445 3.6
9位 ピラフ類 53,835 3.4
10位 たこ焼き・お好み焼き 49,135 3.1
11位 卵製品 44,587 2.8
12位 シューマイ 38,364 2.4
13位 洋菓子 31,957 2.0
14位 おにぎり 27,281 1.7
15位 ミートボール 27,102 1.7
16位 ポテト 26,526 1.7
17位 グラタン 26,196 1.6
18位 春巻 25,100 1.6
19位 中華まんじゅう 20,248 1.4
20位 パン・パン生地 18,866 1.3

2. 業務用と家庭用の数量および金額ベースでの比較

 業務用は、数量が90万3,125トン(100.4%)で2年ぶりに増加、一方の金額は3,970億円(99.8%)と2年連続で減少した。
家庭用は、数量が69万4,194トン(101.0%)、金額が3,161億円(99.0%)となり、数量は5年続けて増加、金額は3年ぶりに減少した。
 業務用と家庭用の比率は、数量ベースではそれぞれ56.5%、43.5%(前年56.7%、43.3%)、金額ベースでは55.7%、44.5%(前年55.5%、44.5%)となり、数量ベースでは家庭用の比率がやや上昇し、金額ベースでは業務用の比率がやや上昇した。

3. 国民1人当たりの年間消費量

 令和元年の冷凍食品消費量は、国内生産量159万7,319トンに、冷凍野菜輸入量108万9,449トンと、調理冷凍食品輸入量26万14,620トンを加えた295万1,388トン(102.0%)。これを日本の総人口1億2,617万人で割った国民1人当たりの年間消費量は23.4kg(前年比0.5kg増、102%)と過去最高を更新した。金額ベースでは1兆769億円(100.1%)と3年連続で1兆円を上回った。
補足:統計データは令和元年をベースにまとめ解説している。最新の統計調査データ令和2年の速報値が発表されているが、最近のコロナ禍の影響により、巣ごもり需要から冷凍食品の消費は増加傾向であったが令和2年は減少傾向に転じる結果となっている。

以上

【参考引用先】
(一社)日本冷凍食品協会HP 統計資料:https://www.reishokukyo.or.jp/statistic/