【洗浄バリデーション】 |
質問Q |
回答A |
- Q1.
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バリデーション基準でいう「洗浄等の作業」のバリデーションに関しては、どの程度の範囲まで実施すればよいのか。
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- A1.
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洗浄作業のバリデーション(以下、洗浄バリデーションとする)については、以下の点に留意して実施するものとすること。
- 少なくとも複数の製品の製造において共用される、製品の品質に影響を及ぼす設備器具について実施すること(一製品の製造に専用の設備器具であっても、劣化した残留物等を考慮して必要に応じて行うものとすること)。
- バリテーションの対象となる洗浄方法について、残留物の量が限度値以下となることを保証するものとし、バリデートされた洗浄方法については、手順書等に反映するものとすること。
- 洗浄バリデーションに係わるバリデーション実施計画書には、対象とする設備、手順、当該設備に係わる製品等、許容水準、モニタリング及び管理を行うためのパラメータ、分析法、採取する検体の態様並びに当該検体の採取及び表示の方法を記載するものとすること。
- 分析法は、限界値相当の量の残留物を十分に検出することができるような特異性及び感度を有する妥当なものとすること。
- 採取方法については、設備表面から直接採取する(スワブ法)、リンス法等のうち適切なものを用い、洗浄後の設備表面に残留する残留物のレベルを定量的に測定することができるようにすること。原則としてスワブ法によることが望ましい。ただし、設備の設計又は工程上の制約のために製品等が接触する面の拭き取りを容易に行うことができない場合(例えば、配管の内部、充填機の接液部の内部、小形で複雑な設備等)においては、この限りでない。
- 残留物の限度値は、実際的であり、達成可能であり、当該値未満であることを検証することが可能であり、最も毒性のある又は製品の品質に最も影響を及ぼす残留物又は汚染物に基づいたものとすること。
- 設備の洗浄作業及び殺菌消毒作業(サニタリゼーション)の手順等の検討に当たっては、当該作業が製品中の微生物数又はエンドロトキシン量を管理する必要のある製造工程又はそれらによる汚染が問題となり得る製造工程に係わるものである場合においては、微生物汚染及びエンドロトキシン汚染を勘案したものとすること。
- 洗浄バリデーションを行った洗浄手順が日常の製造時に有効であることを保証するために、洗浄バリデーションを行った後においても適切な間隔で定期的にモニタリングを行うものとすること。設備の洗浄に係わるモニタリングは、分析によるほか、実施可能な場合においては目視により行っても差し支えないこと。
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- Q2.
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複数の原薬に係わる製品の製造を行う製造所において、当該原薬に係わる製品の品質に影響を及ぼす重要工程(例えば、晶析工程等)以降の共用の製造設備を対象に洗浄バリデーションを行うとき、残留物又は汚染物の限度値はどのように考えればよいか。
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- A2.
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残留物又は汚染物の限度値は、実際的であり、達成可能で、当該未満であることを検証することが可能であり、最も毒性のある又は製品の品質に最も影響を及ぼす残留物又は汚染物に基づいたものとすること。設定の根拠をバリデーション実施計画書にあらかじめ明記しておくこと。
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- Q3.
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洗浄バリデーションは3回の繰返しが必要か。
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- A3.
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- 洗浄バリデーションは、原則として3回の繰返しデータが必要である。
- 新たに製造販売承認申請がなされた医薬品に係わる製品の製造所において、当該医薬品の承認前GMP適合性調査を受けるにあたっては、当該製品を連続で3ロット製造した時点において実施した1回目の洗浄バリデーションのデータをもって足り、2回目以降の洗浄バリデーションの実施計画についてバリデーション実施計画書にあらかじめ明記しておくこと。
- 新製品でも、洗浄バリデーションに関して製造設備を共用する既存製品に係わる残留物の量等の特性が類似していることを示す合理的な根拠がある場合において、それがバリデーション実施計画書にあらかじめ明記されていれば、当該既存製品に係わる洗浄バリデーション結果を利用することとしても差し支えない。ただし、当該製品について、最低1回はその洗浄方法により同等の洗浄効果があることを確認するものとすること。
- 新設備でも、構造的な根拠がバリデーション実施計画書にあらかじめ明記されていれば、当該設備に係わる洗浄バリデーション結果を利用することとしても差し支えない。ただし、最低1回はその洗浄方法により同等の洗浄効果があることを確認するものとすること。
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- Q4.
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バリデーション基準での「洗浄等の作業」のバリデーションでは、「合理的な根拠に基づき、指標となる成分のみをもって評価しても差し支えない」とあるが、具体的にはどのように指標成分を選定すべきか。
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- A4.
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「洗浄等の作業」のバリデーションは、当該作業を実施することにより製品への汚染及び交差汚染を十分防止することができることを保証することを目的とするものである。したがって、洗浄方法が同一である共用設備の洗浄のバリデーションについて指標となる成分を選定する場合においては、各成分の溶解性、当該洗浄方法による除去の困難さ、残留物の限度値、生理活性、投与量、含量等を考慮し、その目的を達成することができることを検証しておくことが必要である。指標成分の選定根拠、指標成分としての残留限度値の設定根拠等を、バリデーション実施計画書にあらかじめ明記しておくこと。
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- Q5.
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洗浄バリデーションを実施し、洗浄方法等を定めた自動洗浄システムを備えた共用の製造設備については、日常的な管理をどのように行うこととすればよいか。
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- A5.
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- 洗浄バリデーションにおいて得られた知見を反映した衛生管理基準に従って日常の管理を行うこととするとともに、洗浄バリデーションを行った洗浄手順が日常の製造時に有効であることを保証するために、洗浄バリデーションを行った後においても適切な間隔で定期的にモニタリングを行うものとすること。また、洗浄作業に使用する計器については定期的に校正を実施するものとすること。
- なお、洗浄方法等の作業を変更しようとする場合においては「変更時の再バリデーション」を実施するものとすること。
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- Q6.
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洗浄バリデーションにおいて用いる分析法は目視による確認によることとしても差し支えないか。
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- A6.
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- 洗浄バリデーションに用いる分析法は、その目的を達成するに足りる方法である必要があり、分析する残留物又は汚染物が限度値以下となるような場合においても適切な検出感度を持つものであることを検証しておく必要がある。目視確認についても、これらの点が満たされるものについては、定量法による分析に代えても差し支えない。
- なお、目視確認によることとする場合においては、観察者による評価のバラツキが生じないような教育訓練の計画的実施等適切な措置をあらかじめ講じておく必要がある。
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- Q7.
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バリデーション基準でいう「既許可品目」の洗浄工程について、日常の管理(目視での確認結果)によって、現在の洗浄方法に問題がないことが確認されている場合においては、当該「既許可品目」の洗浄工程について新たに洗浄バリデーションを行わないこととしても差し支えないか。
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- A7.
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- まず、バリデーション基準中「既許可品目」に係わる運用措置については、平成7年(1995年)に旧バリデーション基準を新たに導入した際の既存許可品目を対象に想定していたものであり、施工通知によりこの措置が新たに適用される製品は事実上ないことに十分留意すること。
- この場合において、定められた洗浄方法により洗浄が行われ、洗浄の効果の確認(A6.前項の条件を満たす場合においては目視による確認によっても差し支えない)を行うことができる場合においては、新たに洗浄バリデーションを行う必要はない。
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- Q8.
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製造設備の洗浄に洗剤(界面活性剤)を用いることとした場合において、洗剤成分の残留の有無の確認をするものとする必要があるか。
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- A8.
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洗剤を用いて洗浄を行うこととする場合においては、洗浄バリデーションにおいて、定められた洗浄方法(すすぎ等)により洗剤成分の残留がないことを定量等により確認しておく必要がある。除去しやすい洗剤を用いることとする場合においては、A6.前項の条件を満たし、目視確認により残留限度値を十分検出することができることが検証されていれば、乾燥後の目視確認によることとしても差し支えない。
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- Q9.
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内用液剤に係わる製品の製造工程のうち、調製から充填に係わる工程の複数の製造設備の洗浄バリデーションについては、リンス法により最終洗浄液中の残留物又は汚染物の濃度が限度値以下であることを確認することをもって足りると考えて差し支えないか。
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- A9.
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洗浄バリデーションに係わる採取の方法については、設備表面から直接採取する方法(スワブ法)によることが望ましい。なお、配管の内部等、スワブ法によることが困難な部分についてはリンス法等適切な方法によることとしても差し支えない。
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- Q10.
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同一仕様の製造設備が2台ある。片方の製造設備の洗浄バリデーションの結果を、もう一方の製造設備の洗浄バリデーションに利用することとしても差し支えないか。
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- A10.
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同一仕様の製造設備の洗浄バリデーションの実施に当たっては、洗浄方法が同一であれば、片方の製造設備の洗浄バリデーションデータを他方の製造設備に係わる洗浄バリデーションにおいて利用することとしても差し支えない。ただし、合理的な根拠を、バリデーション実施計画書にあらかじめ明記しておくこと。
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- Q11.
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洗浄バリデーションにおいて、配管の内部、充填機の接液部の内部等手の届かない箇所からの採取においてもスワブ法によることとすべきか。
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- A11.
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この場合のようにスワブ法の実施が物理的に困難な場合においては、リンス法によることとしてもやむを得ない。ただし、その理由を、バリデーション実施計画書にあらかじめ明記しておくこと。
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