2024/02/05
『食品・包装機械の市場動向(販売全般・輸出・輸入)』
Food and packaging machinery market trends (general sales, exports, imports)
2021年の統計データを基に「食品・包装機械の市場動向(販売全般・輸出・輸入)」についてレポートする。
1.販売動向全般
食品機械のユーザーである食品産業では、2020年に続き二極化傾向が見られ、長期化した「巣ごもり」による内食化、および消費者の健康志向に対応した分野は需要があったが、逆に外食、観光、インバウンドなど人の移動が影響する分野は需要が伸び悩み、設備投資が控えられる傾向にあった。
このような要因により、2021年の食品機械の販売額は573,126百万円(対前年比2.2%減)であった。
機種別(販売額、前年比増減)とそれぞれの動向を次に示す。
(1) 精米機械(14,502百万円、1.9%減)
精米機械は、内食化により需要が増加しているパック米関連や精米施設への設備投資があったが、投資規模が大きくなかったこと、および海外需要への現地対応が増えたことにより輸出が減少したためと考えられる。
(2) 製粉機械(11,963百万円、1.7%減)
製粉機械は、インスタント麺、冷食などに対応した加工設備への投資はあったが、投資規模が大きい上流工程への設備投資は一巡していたためと考えられる。
(3) 製めん機械(10,783百万円、5.0%増)
製めん機械は、コロナ禍の影響で国内、海外ともに内食化により需要が増加している。インスタント麺などのライン増設等設備投資が前年より継続しているためと考えられる。
(4) 製パン・製菓機械(129,760百万円、2.5%減)
製パン・製菓機械は、インバウンド需要の喪失や観光など移動の自粛が長期化し、また訪問など対面する機会が避けられる傾向から、土産物や贈答品などに対応した設備需要が減少しているためと考えられる。
(5) 醸造用機械(16,517百万円、5.0%増)
醸造用機械は、「巣ごもり」で健康食品として味噌・醤油などの醸造食品の消費が増加し、これに対する設備投資があったためと考えられ。
(6) 乳製品加工機械(68,170百万円、1.0%減)
乳製品加工機械は、外食産業など業務用乳製品需要が減少しており、大規模な設備投資がなかったためと考えられる。
(7) 飲料加工機械(24,645百万円、5.2%増)
飲料加工機械は、「巣ごもり」による消費者の健康志向の高まりに対応し、乳酸菌飲料やノンアルコール飲料に向けた設備投資があったためと考えられる。
(8) 肉類加工機械(31,126百万円、8.4%増)
肉類加工機械は、内食化による需要が継続して増加している精肉や食肉加工商品に対応した設備需要が旺盛だったためと考えられる。
(9) 水産加工機械(17,530百万円、1.2%減)
水産加工機械は、大手ユーザーに蒲鉾など水産加工品に向けた設備投資需要があったが、中小ユーザーの設備投資が減少しているためと考えられる。
(10) その他の食品機械(248,130百万円、5.0%減)
その他の食品機械は、中食、コンビニ、スーパーマーケット向け商品に対応した冷食や野菜加工などに向けた設備需要はあったが、外食向けの業務用食品需要が大きく減少を続けたためと考えられる。
2.輸出動向
財務省発表の21年通関統計によると、輸出額は42,910百万円(13.6%増)であった。
(1) 地域別
地域別にみると、増加を記録した地域は、増加率の大きい順に、中南米向け450百万円(41.1%増)、西欧向け4,326百万円(37.8%増)、大洋州向け765百万円(35.2%増)、アジア向け29,747百万円(15.8%増)、北米向け6,542百万円(11.0%増)であった。減少を記録した地域は、減少率の大きい順に、アフリカ向け293百万円(61.5%減)、ロシア・東欧向け393百万円(47.9%減)、中近東向け394百万円(39.5%減)であった。
(2) 機種別
機種別にみると、増加を記録した機種は、増加率の大きい順に、醸造用機械1,775百万円(30.3%増)、飲料加工機械9,035百万円(28.9%増)、肉類加工機械4,766百万円(23.2%増)、その他食品機械11,826百万円(17.2%増)、製麺機械4,451百万円(11.6%増)、製粉機械117百万円(1.7%増)であった。減少を記録した機種は、減少率の大きな順に、水産加工機械1,274百万円(24.3%減)、精米麦機械195百万円(17.8%減)、製パン・製菓機械9,470百万円(7.0%減)であった。
(3) 国別
国別には輸出額が多い順に、中国10,450百万円(17.8%増)、アメリカ5,961百万円(8.7%増)、韓国5,814百万円(11.7%増)、タイ4,336百万円(54.8%増)、台湾2,920百万円(30.1%増)であった。
3.輸入動向
同じく、財務省発表の21年通関統計によると、輸入額は29,885百万円(5.8%減)であった。
(1) 地域別
地域別にみると、増加を記録した地域は、増加率の大きい順に、大洋州からの輸入が581百万円(1,630.2%増)、中南米122百万円(322.0%増)、中近東4百万円(36.1%増)、アジア5,916百万円(15.1%増)、アフリカ4百万円(4.2%増)、北米3,531百万円(4.2%増)を記録した。減少を記録した地域は、減少率の大きい順に、西欧19,510百万円(14.1%減)、ロシア・東欧227百万円(12.4%減)であった。
(2) 機種別
機種別にみると、増加した機種は、増加率の大きい順に、乳製品加工機械2,275百万円(64.7%増)、肉類加工機械3,842百万円(13.2%増)、その他食品機械3,410百万円(11.1%増)であった。減少を記録した機種は、減少率の大きい順に、製粉機械415百万円(50.6%減)、醸造用機械468百万円(24.1%減)、製パン・製菓機械5,451百万円(19.7%減)、飲料加工機械14,023百万円(10.3%減)であった。
(3) 国別
国別には輸入額の大きい順に、ドイツ9,154百万円(32.4%減)、中国4,242百万円(38.4%増)、アメリカ3,435百万円(3.3%増)、イタリア3,138百万円(20.3%増)、スイス2,135百万円(20.5%減)であった。
以上
【参考引用先】
- 「2021年食品機械調査統計資料」(一社)日本食品機械工業会
2021年:食品機械統計資料 (fooma.or.jp) - 財務省「貿易統計」
貿易統計検索ページ : 財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan (customs.go.jp)